HIROBUNが投資信託を比較するブログ

グラフと表による「見える化」を通じて、投資信託を比較します。そして、優れたバランスファンドにより、すべての方にストレスなしの真のほったらかし投資を!

【人気・議論沸騰中】グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)を比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも、当ブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、前回は、私家版FOY2019ランキングなどというものを作成してみたのですが、その中で取り上げなかった投資信託がありました。

表題にしましたので、お分かりだと思いますが、それはグローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)(以下、グロ3)です。

理由としては単純で、グロ3は昨年10月4日が設定日なので、まだ、Yahoo!ファイナンスでも年間リターンが出ておらず、まだ比較できないと思っていたからです。

しかし、自分のエクセルシートでは10月になればリターンの計算ができたことに、上記のランキングを作成した後になってから気付きました(汗)。

もし、上記のランキング作成時に一緒に比較していたら、そして何も忖度しなければ、確実に圧倒的1位でしたね。

しかし、今回記事にしてみて、やっぱりグロ3を1位にしなくてよかったと思いました。

その理由を最初に書いてしまうと、多くの投資ブロガーが指摘しているように、グロ3にもレバレッジ型ファンドに特有の自然減価の懸念があるにもかかわらず、運用会社からはその懸念を払拭するような説明が行われていないからです。

詳しくは「6 自然減価」で書きます。 

1 ファンドの特色

主として、世界(日本を含む)の資産(株式、REIT、債券)に分散投資を行う。世界の株式やREITなどの現物の組入総額と株価指数先物取引国債先物取引の買建総額の組入合計額が、信託財産の純資産総額の3倍相当額となるように投資を行う。原則として、為替ヘッジを行わない。ファンドオブファンズ方式で運用。9月決算。(引用元:モーニングスター

冒頭にも書きましたが、いわゆるレバレッジ型のバランスファンドということになります。

資産配分は次のとおりです。

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(画像元:交付目論見書)

この図は、皆さんも既に様々な記事等で目にしていると思いますが、色々と思考を刺激されます。

まず、左の3分法(1倍バランス)は株式クラスとリートクラスが合わせて3分の1、債券クラスが3分の2を占めており、これだけなら、かなりローリスク・ローリターンのバランスファンドになると思われます。

それが、右の3倍3分法になると、株式クラスとリートクラスについては、3分の1✕3倍となり、投入資金全額で買ったのと等しいリターンが期待できることになります。また、債券クラスについては、3分の2✕3倍となり、投入資金の2倍の資金で買ったのと等しいリターンが期待できます。

ここからは私のこれまでの経験も踏まえた上での理解となりますが、株式やリートの価格が上昇しても、投資家は債券をすぐに売却するようなことはしないため、債券の価格は下落しません。このときグロ3を買った投資家は、債券の価格に足を引っ張られることなく、株式やリートの価格上昇時のリターンをほぼ100%得ることができます。

一方で、株式やリートの価格が下落すると、投資家は株式やリートを売却し、避難先として債券を購入するため、債券の価格は上昇します。このときグロ3では、投資家は、債券の価格上昇時のリターンを200%得ることができますので、株式やリートの価格下落のマイナスを大きくカバーできることになります。

この結果、グロ3は、運用会社が言うように「株のように上がるが、株のようには下がらない」理想的なバランスファンドであるように思われるのですが、冒頭に書きましたとおり、完璧な投資法は存在しないことに、私達投資家はあらためて注意を払う必要があると考えます。

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

グロ3はバランスファンドですので、いつもなら、他のバランスファンドと比較するだけなのですが、現状ではレバレッジ型ではないバランスファンドとはリターンに大差があることが分かっていましたので、あくまでも参考ですが、レバレッジ型ではないインデックスファンドの中では、リターンで唯一対抗できそうな国内リートファンドも一緒に比べて見ました。

グロ3は紫色の線です。2018年12月こそ、他のバランスファンドと同様の下落を見せましたが、その後の上昇時は、他のバランスファンドを大きく上回る上昇を見せました。

2019年5月には下落しましたが、その時の下落は他のバランスファンドと大差なく、その後はまた大きく上昇し、他のバランスファンドのリターンを引き離しています。

まさにコンセプトどおりのパフォーマンスと言えます。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

グラフでも見ていただきましたように、グロ3が圧倒的な年間リターンを示しました。レバレッジ型ではないバランスファンドでは最も年間リターンが高い野村7資産の2倍以上のリターンです。

また、年間標準偏差についてもかなり低く抑えられており、Slim8資産をやや上回る程度ですが、野村7資産ほど低リスクではないですね。

このため、シャープレシオは一般的に優秀とされる1を大きく超える2.17をマークしています(しかし、これをさらに上回る国内リートってどうなっているのでしょうか・・・?)。

そして、言うまでもありませんが、純資産2,600億円超は、グロ3がいかに投資家の支持を集めているかを表していますね。

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

グロ3が2018年10月に設定されて以来、純資産は2019年3月までは18億円程度でしたが、翌月には312億円、後は現在の2,607億円まで一直線に増加しています。Yahoo!ファイナンス投資信託ランキングで、月次の資金流入額第2位は伊達ではないですね(なお、11月に増加が鈍化したように見えているのは、11月はまだ1日分しかカウントされていないからです)。

要するに売れまくっているわけですね。

5 総口数の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

総口数(赤色の線)も、純資産とほとんど同じように増加しています。2019年3月は16億口程度でしたが、翌月には278億口となり、後は現在の2,053億口まで一直線に増加しています。

2019年5月に一時基準価額が下落した際も、全く影響が見られませんでしたので、投資家は、グロ3については短期的な売買は考えていないことが推測されます。

6 自然減価

グロ3は巧妙なコンセプトに基づいて設定されたレバレッジ型のバランスファンドであり、これまで見てきた限りでは穴がないように思えます。

しかし、グロ3については、次のとおり多くのベテラン投資ブロガー様から称賛とともに、懸念が示されています。

株と債券の同時安の時代が到来(byGPIF) - 40代でアーリーリタイアしたおっさんが たわら先進国株でベンツを買うブログ

レバレッジドバランス投信のリスクについて: 敵を知り適切に怖がろう | hassのまったり投資譚

『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』楽天・全米株式、NASDAQ100連動型、先進国株式と実績比較・評価 - NISAで積立投資手帳

グローバル3倍3分法ファンドの評価・デメリットを理解して投資しよう|ノーロード投資信託ガイド

レバレッジ型投資信託「グローバル3倍3分法ファンド」の評価と注意点 - ゆとりずむ

グロ3についての懸念の多くにつきましては、すでに上記の記事で詳細に触れられ、分析されており、正直言って私の出る幕はありません。

そこで、ここでは私が最も懸念するレバレッジ型ファンドの自然減価に絞って、見える化し、説明をしてみたいと思います。

この自然減価を具体的にお示しすると、次の表のようになります。

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この表の意味ですが、今、仮にレバレッジなし、レバレッジ2倍、レバレッジ3倍で同じ資産クラスに投資する、それぞれ当初価格が100の3つのファンドがあるとします。

表の上半分を見ていただくと、上記の資産クラスが、1回目に10%下落し、2回目に10%上昇すると、当初価格の100が、レバレッジなしでは99、レバレッジ2倍では96、レバレッジ3倍では91に減価します。さらに、3回目、4回目でも同様の下落と上昇を繰り返すと、それぞれ、98.01、92.16、82.81に減価します。

同じ割合で下落し上昇したので、元の価格に戻るような気がしますが、実際にはそうはならずに減価し、しかも、減価率はレバレッジの倍率が大きいほど大きいということですね。そしてこれは、表の下半分のように、上昇と下落の順番を入れ替えても同じです。

では、これをもっと推し進めるとどうなるのかをグラフで見てみます。

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ここでは、レバレッジなしが1の線で、以下、レバレッジ2倍が2の線~レバレッジ10倍が10の線となっています。

最も極端なレバレッジ10倍の線を見てみますと、1回目で10%✕10で100%上昇しますが、2回目では-10%✕10でなんとゼロになってしまいます。

ここまでひどくはなくても、レバレッジが高いほど早期に大きく減価することがお分かりになると思います。

いや、グロ3はバランスファンドだから、もっと上昇と下落は小さいはずというご意見もあろうかと思いますので、5%の上昇と下落を繰り返すグラフも作成してみました。

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このグラフでは、レバレッジ10倍でも21回目の時点でまだ価格はゼロになっていませんが、レバレッジが高いほど早期に大きく減価する傾向は10%の場合と変わらないことが分かります。

これらのグラフを見る限り、レバレッジ3倍のグロ3は自然減価が避けられないと考えられますが、ベテラン投資ブロガー様の中にはそのような心配は杞憂との声もあります。

確かに、上記のグラフは、当初に一括で買い付けた資産クラスをずっと運用し続けた場合の話であり、その場合は自然減価は避けられないことは事実だと思いますが、実際のグロ3は、日々新たな資産クラスを買い付けているはずなので、自然減価の時期はどんどん先延ばしされている可能性があります。

また、グラフで想定したのは、5%ないし10%の上昇と下落が交互に起こる場合ですが、実際にはそんなことはあり得ず、下落の後にもっと大きく上昇する可能性もあるわけです。そして、その場合は、自然減価が見かけ上リセットされることも想定されます。もちろん、その逆にもっと大きく自然減価するケースもありえるわけですが。

さらに、グロ3はバランスファンドですので、自動リバランスが働きます。リバランスは値上がりした資産クラスを売却して、値下がりした資産クラスを購入することですから、それが自然減価にどのような影響を与えるのか。

これらの疑問については、正直、私の知識では分かりませんでしたし、そのあたりをご説明してくださっている記事も見つけられませんでした。

まあ、だからこそ議論を呼んでいるのでしょうね。

7 終わりに

何度も書いておりますとおり、私はバランスファンド派で、グロ3が話題になり始めたときに心が動いたことは確かです。

この記事を書くまでは、現在私が買っている野村7資産の一部を売却して、買ってみようかと考えたこともあります。

しかし、野村7資産よりはリスクが大きいですし、何より、上記の6で書いた自然減価について、いまだに納得のいく説明がされていないようですので、私自身としてはグロ3を購入する予定はありません。

しかし、自然減価については、それほど心配する必要がない可能性もあります。

以下はあくまでも推測ですが、グロ3は自然減価により徐々にパフォーマンスを低下させるが、全資産クラスの下落といったアクシデントのない限り、10年間はレバレッジなしの既存のバランスファンドをパフォーマンスで上回る、だから、運営会社は自然減価のことについてあえて触れないと、こんなところなのかなと考えています。

ですので、上記のベテラン投資ブロガー様も記事で書かれているように、グロ3を買おうとお考えの投資家の皆さまは、決してほったらかすことなく、日頃からグロ3の基準価額の動きに目を光らせ、パフォーマンスに劣化の兆候が現れたら、長期投資には必ずしもこだわらないことをお勧めします。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

Fund of the Year 2019に投票しました!投票したのはもちろん、あのファンド

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、投信ブロガーお待ちかねのFund of the Year 2019ですが、いよいよ投票が始まりましたね。

私は今回始めての投票となりますので、非常に楽しみです。

特に、今回は自分のブログで私家版のFOY2019などという記事も書いてしまったので、本番がどうなるのかは余計に興味があります。

indexhikaku.hatenablog.jp

上の記事で1位になったファンドのランクインは果たしてあるのか、ないのか。あると嬉しいですけれどね。

また、本当は、表彰式もその後の懇親会も出て、他の投資家の皆さんにお会いしてみたいのですが、あいにく当日は息子のセンター試験がありますので、残念ですが、今回はちょっとやめておこうと思います。

まあ、楽しみは先に取っておくとして、ここで私の投票したファンドを発表します。

野村インデックスF・内外7資産バランス・H型に5点です!

理由としては、レバレッジ型ではないバランスファンドでは最も低いリスクと最も高いリターン、その結果として最も高いシャープレシオとなっています。

他が下げてもあまり下げない。他が上げれば同じように上げる。余剰資金の全額をこのファンド1本で運用していますが、今のところ、全く期待を裏切らないパフォーマンスを見せています。

このファンドについては次の記事も書いています。

indexhikaku.hatenablog.jp

今回はここまでです。

それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【私家版FOY2019ランキング】FOY2018ベスト20ファンドとライバルファンドを比較してみる(保存版)

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、早速ですが、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year(以下、FOY) 2019」の投票期間(2019年11月1日~11月30日)が、いよいよ目前に迫ってまいりました(私は初めての投票となります!!)。

そこで、今回はFOY2018でベスト20にランクインした投資信託と、私がライバルと考える投資信託の1年間の実績を比較して、HIROBUN版FOY2019と言えるものを作成してみました。

いつものとおりエクセルで作成したグラフと表で客観的な比較を行いますので、投信ブロガーの皆さまには、投票の際のご参考の一つとしていただければ幸いです(なお、すでに投票するファンドを決めておられるブロガー様には大変余計なお世話かもしれませんが、ご容赦ください)。

また、これから投資信託で資産づくりを行うことをお考えの皆さまにも、もちろん、ご参考にしていただける記事になっていると思います。

1 今回比較した投資信託

投信ブロガーさんはご承知のとおり、FOY2018の結果は次のとおりでした(頭の数字はランキング順。後ろのカッコ内は私が比較用に付けた分類です)。

01 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(外国株式)
02 <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(外国株式)
03 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(全世界株式)
04 楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))(米国株式)
05 eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)(バランス)
06 セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(バランス)
07 バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)(ETF
08 eMAXIS Slim 米国株式(S&P 500)(米国株式)
09 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))(全世界株式)
10 eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)(全世界株式)
11 ひふみ投信(国内株式)
12 野村つみたて外国株投信(外国株式)
13 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス(外国株式)
14 バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)(ETF
15 結い 2101(国内株式)
16 バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)(ETF
17 iFree S&P 500インデックス(米国株式)
18 eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)(全世界株式)
19 農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド(米国株式)
20 SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))(全世界株式)
20 コモンズ30ファンド(国内株式)

上記のうち、今回はETFを除く18ファンドを比較対象としました。さらに、一緒に比較するライバルファンドとして、次の7つの投資信託を追加しました。
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)(国内株式)
eMAXIS Slim国内株式(日経平均)(国内株式)
・iFree8資産バランス(バランス)
・たわらノーロード先進国株式(外国株式)
・野村6資産均等バランス(バランス)
・野村インデックスF・内外7資産バランス・H型(バランス)
・野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型(米国株式)

以上、合計25ファンドを比較しましたが、具体の比較に入る前に、まず、どのように比較したかをご説明いたします。

元データはYahoo!ファイナンスの月間(月末)の時系列データです。対象期間は、2018年10月31日~2019年10月25日です。

比較対象のファンドはそれぞれ基準価額が異なりますので、条件を揃えるために、昨年10月末時点の基準価額を100%とし、その後の変動率で比較しています。

標準偏差シャープレシオは、エクセルの関数を使用して独自に算出しています。Yahoo!ファイナンスのものと完全には一致しないと思いますが、すべてのファンドで同様に計算しているので傾向としては間違っていない筈です。数字自体は参考程度にお考えください。

シャープレシオは概ねファンドのリターンを標準偏差で割ったもので、投資の効率性を測る指標です。

また、総合ランキングとは別に、上記のとおりファンドを国内株式、米国株式、外国株式、全世界株式、バランスの5種類に分類し、それぞれの中でのナンバーワンを選びました。

そして、最後に、参考までに各株式ファンド及びバランスファンドのナンバーワン同士を比較しました。

それでは、いきなりですが総合ランキングの発表です!!

2 総合ランキング

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(出典:Yahoo!ファイナンス

今回、総合ランキングはシャープレシオで行いました。25位まであるのはライバルファンドを含んでいるためです(本物のFOYは20位まで)。

リターンでランキングすべきではとお考えの方もいらっしゃると思いますが、やはり投資信託はリターンとリスクのバランスが重要であること、また、単純にハイリスク・ハイリターンの投資信託が上位となることを防ぐ意味もあります。

全体の1位は、野村インデックスF・内外7資産バランス・H型でした。リターン(12か月リターン)は僅差で全体の2位でしたが、リスク(年間標準偏差)が圧倒的に低く1位でした。

2位は野村6資産均等バランス、3位にeMAXISSlimバランス(8資産均等型)が入りました。

この1年間は株式市場が不安定だったため、株式ファンドより相対的にリスクの低いバランスファンドが有利だったようです。

また、株式ファンドは、野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型の5位が最高位でした。リターンは1位でしたが、リスクでは債券クラスを含むバランスファンドに及ばなかったので、シャープレシオの面で不利でした。

なお、パフォーマンスが振るわなかった国内株式ファンドは、今回は一つも20位以内に入ることができませんでした。

※ リターンは基準価額から計算により求めたもので、信託報酬を差し引く前のものです。なお、この記事では信託報酬抜きのリターンも記していますが、Yahoo!ファイナンスの信託報酬を単純に差し引いただけであり、信託報酬の厳密な算定は行っておりませんので、こちらはあくまでも参考程度にお考えください。

3 国内株式ファンドの比較 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

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(出典:Yahoo!ファイナンス

国内株式ファンドでは、eMAXIS Slim国内株式(日経平均が1位となりました。2位には、インデックスファンドを抑えてアクティブファンドのコモンズ30ファンドが入っています。

4 米国株式ファンドの比較

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(出典:Yahoo!ファイナンス

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(出典:Yahoo!ファイナンス

米国株式ファンドでは、野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型が1位となりました。2位には、インデックスファンドを抑えてアクティブファンドの農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねが入っています。

S&P500やVTIに連動する投資家に大人気のファンドが、上記2ファンドを下回るパフォーマンスだったのは意外な感じもしますが、それだけ株式市場が不安定だったということなのでしょう。

5 外国株式ファンドの比較 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

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(出典:Yahoo!ファイナンス

外国株式ファンドは、主に日本以外の先進国の株式に投資する投資信託です(今回は後述するように例外あり)。

外国株式ファンドでは、僅差でeMAXIS Slim先進国株式インデックスが1位になりました。2位には、ほとんど誤差のような差で、ニッセイ外国株式インデックスファンドが入りましたが、3位と4位のファンドについても、ほとんどパフォーマンスは変わりませんでした。

なお、今回は便宜的にeMAXIS Slim新興国株式インデックスも同じグループに入れたのですが、グラフを見ても、他の外国株式ファンドよりも明らかにリスクの高い動きとなっています。

6 全世界株式ファンドの比較

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(出典:Yahoo!ファイナンス

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(出典:Yahoo!ファイナンス

全世界株式ファンドは、基本的には日本を含む先進国と新興国の両方の株式に投資する投資信託です。ただし、先進国には日本を含まない場合もあります。

全世界株式ファンドでは、eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)が1位となりました。2位には同じeMAXIS Slim全世界株式シリーズのオール・カントリー(=日本を含む)が入っています。残念ながら、日本が入るとパフォーマンスが落ちるということですね。

7 バランスファンドの比較

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(出典:Yahoo!ファイナンス

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(出典:Yahoo!ファイナンス

バランスファンドは、例えば8資産均等型の場合は、国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート、先進国リートの主要8資産に投資する投資信託です。これが、銘柄によっては7資産だったり、6資産だったり、リートを含まなかったりします。

バランスファンドでは、野村インデックスF・内外7資産バランス・H型が1位となりました。2位には野村6資産均等バランスが入っています。

どちらの投資信託もリートの割合が3分の1と他のバランスファンドよりも高く、現在非常に高騰しているリートの恩恵が大きかったものと考えます。

8 株式ファンドとバランスファンドの比較

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(出典:Yahoo!ファイナンス

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(出典:Yahoo!ファイナンス

総合ランキングではシャープレシオで比較しましたが、ここでは年間リターンで比較してみますと、次の関係が見えてきます。

米国株式 > 優秀なバランスファンド > 先進国株式 > 全世界株式 > 国内株式

私はバランスファンド派ですが、これを見ると、現在の米国株ブーム、それも高配当株ブームは当然のことなのかなとも思います。

9 おわりに

もともと私はベストバイと言われるものが大好きで、家電なども買う前にネットや情報誌で散々情報を収集し、比較してから買うタイプです。

そして、そういう人間がインデックス投資に目覚め、FOYというものを知ったときに感じたのは、すごく参考になるという気持ちと同時に、一種の物足りなさでした。

その理由は、ランキングされたファンドが人気があることは分かりますし、その理由も皆さん熱くコメントされていて理解もできるのですが、客観的なデータが何も示されていないため、そのファンドが本当に儲かる投資信託なのか、また、どれが一番儲かる投資信託なのかが分からなかったからです。

そして、それは、投資信託を購入しようとしている一般の方々や投信ブロガーと言われる方々でさえも同じではないかと考えたため、当ブログを始めたわけです。

今回はFOY2019前ということで、やっていること自体はいつもと同じですが、少し集大成的に記事をまとめてみました。

たった1年間のデータで何がわかるのかというご意見は当然あると思いますが、投票や投資をする際の一つの目安として当記事のデータをご活用いただければ大変嬉しいです。

今回はここまでです。それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【もっと売れてよい?】野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型を比較してみる2

こんにちは。HIROBUNです。

ブログをしばらくサボってしまい、申し訳ありません。ツイッターに少々浮気していました。

さて、そのツイッターの投資クラスタでは、非常に多くの投資家の方々が米国高配当株式の配当再投資戦略に取り組み、実績を残していらっしゃることが分かりました。

そこで、今回は、それと少し似ている投資信託として、野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型(以下、野村米国配当貴族H型)を取り上げてみたいと思います。

といっても、同ファンドは以前にも一度取り上げておりますので、お読みいただいた方は、そのパフォーマンスの良さはご存知だと思います。

indexhikaku.hatenablog.jp

今回は、上記の理由に加えて、少し時間も立ち、また、当ブログでの見える化の方法も少し進化しましたので、内容の重複はご容赦いただき、あらためて最新の状況をお伝えしたいと思います。

1 ファンドの特色

米国の株式を実質的な主要投資対象とし、S&P500配当貴族指数(配当込み・円ヘッジ)の動きに連動する投資成果を目指して運用を行う。株式の実質組入比率は、原則として高位を基本とする。効率的な運用を行うため、上場投資信託証券(ETF)を実質的に活用する場合がある。実質組入外貨建資産については、原則として為替ヘッジにより為替変動リスクの低減を図る。ファミリーファンド方式で運用。4月決算。(引用元:モーニングスター

なお、S&P500配当貴族指数は、S&P500構成銘柄のうち、過去25年間連続して毎年増配している優良大型株で構成されている指数です。

資産配分は次のとおりです。

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(画像元:交付目論見書)

投資比率1位のシンシナティ・ファイナンシャルを調べてみたのですが、損害保険、生命保険事業を展開する米国の持株会社で、50年以上の連続増配記録を続けており、配当王とも呼ばれている企業とのことです。

2 基準価額変動率の推移 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

一番上の紫色の線が野村米国配当貴族H型です。2019年4月を除き、インデックス投資家に人気の3本の米国株式ファンドを大きくアウトパフォームしています。

また、私が唯一購入している野村7資産もリターンでは負けています。ちょっと悔しいですね。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

グラフでも見ましたが、野村米国配当貴族H型は、Slim米国株式、Slim先進国株式、楽天全米株式のどれよりも信託報酬が高いですが、それを差し引いても年間リターンは最も高くなっています。

また、年間標準偏差は株式ファンドの中では最も低く、その結果、シャープレシオは株式ファンドの中で最も高くなっています。

その割に、純資産が33億円とやや少ないのが気になるところではあります。 

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

野村米国配当貴族H型は2017年1月に設定されました。

2018年3月の12億円から同年11月の31億円まで、順調に純資産額を増やしましたが、その後はやや伸び悩み、直近でも33億円にとどまっています。

5 総口数の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

赤色の線が総口数、青色の線が基準価額です。

総口数は、2018年3月の11億口から2019年1月の27億口まで、順調に総口数を増やしましたが、その後は23億口まで減らした後、現在は26億口まで戻しています。

これを基準価額の推移と一緒に見てみますと、基準価額が最も下落した2018年12月の翌月が最も総口数が多くなっています。

その後、2019年4月にかけて基準価額が戻るのと対象的に総口数が減っており、2019年5月に基準価額が下落した際は、また総口数が増えています。

以上から、野村米国配当貴族H型を購入する投資家の中には、比較的短期の逆張りの売買で利益を確保している投資家がかなりの割合で含まれているのではないかと思われます。

6 終わりに

野村米国配当貴族H型は、米国株式ファンドの中でも、リターンは安定して高く、リスクは低くなっており、魅力的な投資信託であると考えます。

しかし、残念ながら、野村米国配当貴族H型の純資産額や総口数は伸び悩んでいます。

その理由は推測ですが、

・ 信託報酬が最安ではないため、インデックス投資家の選択肢に入らない

・ 信託報酬が高いわけでもないため、証券会社や金融機が積極的に売ろうとしない

というあたりなのかなと思います。

いずれにしましても、米国株式に投資しようとする場合は、なかなか優れた投資信託だと思いますので、米国株式に投資信託を通じて投資しようとお考えの皆さまは、検討してみてはいかがでしょうか。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

野村 PIMCO・世界インカム戦略ファンドA(SMA・EW)を比較してみる

こんにちは。週末の台風と停電が怖くて、Amazonでポータブル電源を買ったHIROBUNです。

前回の記事からだいぶ日にちが空いて申し訳ありませんでした。

さて、突然ですが、これまでYahoo!ファイナンスの1日あたりアクセス数上位の投資信託から、取り上げる投資信託を選んでまいりました。

しかし、最近1日あたりのアクセス数だと、順位の変動が大きすぎると感じるようになりました。

具体的には、前日にグラフ等の下準備をしても、当日は順位が大きく下がっていたりして、取り上げる投資信託を変更したこともありました。

ということで、上記の方針をやや修正し、今後はYahoo!ファイナンスの資金流出入上位から取り上げる投資信託を選ぼうと思います。

これだと1か月あたりのランキングですので、順位の変動はかなりマイルドになると思います。

また、投資信託を購入しようとしている方の注意喚起を図る意味もあると考えるため、資金流出上位の投資信託も平等に取り上げていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

では、前置きが長くなりましたが、今回は、資金流入上位の野村 PIMCO・世界インカム戦略ファンドA(SMA・EW)を取り上げます。

で、いきなり横道にそれて申し訳ないのですが、投資信託の名前は長いものが多いので、私はブログではいつも略してしまうのですが、この投資信託は困りました。

モーニングスターで野村 PIMCO・世界インカムを検索すると、8本もヒットします。しかも、Aが2本、Bが2本、C、D、E、Fが各1本あるんですね。

困った結果、今回は野村世界インカムA(S)としました。あまりうまく省略できていないのはご容赦ください(笑)。

1 ファンドの特色

投資一任口座専用ファンド。世界各国(新興国を含む)の債券等(国債、政府機関債、社債モーゲージ証券資産担保証券、ハイ・イールド債券、企業向け貸付債権(バンクローン)等)および派生商品等を実質的な主要投資対象とする。運用にあたっては、「ピムコジャパンリミテッド」に、運用の指図に関する権限の一部を委託する。原則として為替ヘッジを行う。ファンドオブファンズ方式で運用。12月決算。(引用元:モーニングスター

素人投資家は、まず投資一任口座専用ファンドで引っかかりましたので、早速調べてみました。

投資一任契約とは、投資運用業者が投資家から投資判断の全部または一部を一任され、その投資判断に基づき投資を行うための権限を委託されることを内容とする契約のことです。投資一任契約を締結したラップ口座サービスでは、この契約に基づいた資産配分構築や、株式、投資信託などの売買判断の一任、売買の注文執行、定期的な報告などが提供されます。

ファンドラップは投資信託を通じてお客様の資産を投資一任運用する包括的サービスですが、これを利用する際は証券会社との間で投資一任契約を結ぶ必要があります。(以上、SMBC日興証券のHPより)

要するに、野村證券が「お客様のお考えをもとに、お客様にかわり、資産運用をする」野村のラップ口座でしか買えない投資信託ということですね。

資産配分は次のとおりです。

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(引用元:交付目論見書)

 世界各国とのことですが、上位は米国の各種債券が占めています。

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

野村世界インカムA(S)は紫色の線です。 

なだらかに上昇しており、国内債券ファンドや先進国債券ファンドと同じような傾向です。

新興国債券ファンドに対しては、アンダーパフォームする期間が多いですね。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

野村世界インカムA(S)のシャープレシオは、5ファンドの中で一番良いですが、年間リターン、年間標準偏差とも、国内債券ファンド及び先進国債券ファンドとあまり差がありません。

新興国債券ファンドには、やはり年間リターンで大きく差をつけられています。

インデックスファンドの数倍ある信託報酬は、個人的には受け入れかねますが、全部おまかせで、低コストインデックスファンドと同じリターンなら良しとする顧客は、特に富裕層には多いような気もします。 

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

19か月前の1,200億円超から現在の2,200億円超まで、やや停滞した時期もありましたが、基本的には順調に純資産額が増えています。 

5 総口数の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

総口数は赤色の線ですが、19か月前の1,200億口超から現在の2,100億口超まで、こちらもやや停滞した時期がありましたが、基本的には順調に総口数が増えています。

青色の線の基準価額の下落時でも、ほとんど総口数の減少は見られませんでしたが、これが投資一任契約の効果なのでしょうか、それとも野村證券の営業力なのでしょうか。ちょっと分かりません。

6 終わりに

野村世界インカムA(S)は、債券ファンドとしては信託報酬が割高ですし、ファンドラップということで、特にインデックス投資家には全く見向きされないファンドだと思います。

私としても、ファンドラップを契約するような方には、もっと低コストで、もっと良いインデックスファンドがあることや、一つのファンドであらゆる資産クラスに投資できるバランスファンドがあることを、当ブログでお伝えしていきたいと考えています。

ファンドラップのような商売が成り立たなく日が1日も早く来るといいなと、そのためにわずかでも貢献できたらいいなと、あらためて思いましたね。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【タイミング売買向き】日経225ノーロードオープンを比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

さて、今回はYahoo!ファイナンスのアクセス数上位の投資信託から、日経225ノーロードオープン(以下、日経225)を取り上げます。

アクセス数上位ということは、注目ファンドといってよいと思いますが、日経平均に連動する投資信託って、今でもそんなに人気があるのかなと最初は思いました。

インデックス投資ブログや米国株式投資ブログを読んでいると、国内株式ファンドのパフォーマンスを評価しない記事が多く、なんとなく、皆さん買ってないような勘違いをしていたのですが、とんでもないですね。

実は純資産額から見ると、日経平均に連動する投資信託ETFを含む)は桁違いの需要(人気?)があります。

例えば、純資産額1位の日経225連動型上場投資信託ETFですが、純資産額はなんと5兆8,900億円以上もあります。

これが普通の投資信託となると、ぐっと規模が小さくなりますが、それでも、7位のインデックスファンド225が純資産額2,200億円、今回の日経225が8位で純資産額1,700億円あります。

日経平均に連動するファンドはS&P500などに連動するファンドと比べると、かなりパフォーマンスが劣るのに、ちょっと不思議な感じがしますが、以下の「5 総口数の推移」で書くように、どうもインデックス型の国内株式ファンドは、長期投資の対象としては考えられていない節があります。

1 ファンドの特色

購入時及び換金時に手数料がかからないノーロードタイプのインデックスファンド。原則として日経平均株価採用銘柄の中から200銘柄以上に等株数投資を行い、日経平均株価に連動する投資成果を目指す。8月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は次のとおりです。

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(引用元:交付目論見書)

組入銘柄1位のファーストリテイリングが、純資産総額のうち8.55%も占めているのがかなり目を引きます。

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

いつもは、国内株式はTOPIXに連動するインデックスファンドと比較しているのですが、今回はあえて、同じ日経平均に連動するSlim国内株式(日経平均)と比較してみました。

日経225は紫色の線ですが、その差は非常に僅かではあるものの、より信託報酬の低いSlim国内株式(日経平均)のほうが、リターンが高くなっています。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

同じ日経平均に連動するインデックスファンドですが、日経225のほうがSlim国内株式(日経平均)よりも年間リターンが低く、信託報酬の差も加えると、その差は1.3%にもなります。

長期投資家なら、当然、Slim国内株式(日経平均)を選択すると思います。

一方で、老舗の日経225の純資産額は、比較的最近設定されたSlim国内株式(日経平均)の74倍もあります。

では、いつの日か、Slim国内株式(日経平均)の純資産額が日経225を逆転する、あるいはそこまでは行かないまでも、近づくことはあるのでしょうか。

しかし、話はそう単純ではないようなのです。

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

2018年9月の1,541億円から同年10月の1,930億円に急増しているのが目を引きますが、このとき、実は基準価額が急落していました。 

基準価額が急落しているのに、純資産が急増したということは、基準価額の下落以上に総口数が急増したことを意味します。

5 総口数の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

そこで、今回は日経225の総口数と基準価額の関係をグラフ化してみました。

赤色の線が総口数で左側の目盛り、青色の線が基準価額で右側の目盛りです。

皆さんは見事な上下対象の線だと思いませんか。私は思いました。

基準価額が上がると総口数が減少し(投資信託が売られ)、基準価額が下がると総口数が増加し(投資信託が買われ)ています。

これは典型的なタイミング売買(逆張りのうねり取り)ですね。

機関投資家や、少し前なら相場師と言われたような玄人投資家の売買だと思います。

このような投資家は、おそらく1.3%の年間リターンの差など気にしないでしょうし、それよりも流動性(いつでも大量に売買できること)を重視するでしょう。

つまり、Slim国内株式(日経平均)が販売されても、タイミング売買を行う投資家にとっては、日経225の存在価値は変わらないのではないかと思われます。

6 終わりに

以上から、日経225がタイミング売買の対象となっていることが推測できましたが、ということは、よりタイミング売買に適している日経平均に連動したETF群もまた、同様にタイミング売買の主戦場となっていると思われます。

タイミング売買では、価格が上下に動くことが利益を生み出すことにつながります。

価格が下がれば安い価格で仕入れるために買い、価格が上がれば利益を確定するために売ります。以降、それを繰り返します。

タイミング売買にとっては、価格が下がり続けることは(買いどきがわからないので)望ましくありませんが、上がり続けることも(売りどきがわからないので)あまり望ましくありません。

これらは商売と同じで純粋に経済的な行為であり、何も間違ってはいないのですが、インデックス投資家が考える投資とは異なりますよね。投資と投機の違いとして説明されることもあります。

いずれにしても、国内株式ファンドは上記のようなタイミング売買が基準価額の動きに大きく影響していることを十分認識する必要があると思います。

以上から、やはり国内株式ファンドは(単独では)あまり長期投資には向かないですが、タイミング売買ができる投資家には十分需要があると言えます。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

サイバーセキュリティ株式オープン(H無)を比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

やっと風邪が良くなってきました。でも、インフルエンザが早くも流行とのことですので、皆さまも十分にお気を付けください。

さて、Yahoo!ファイナンスのアクセス数ランキングから見た注目ファンド、今回は、サイバーセキュリティ株式オープン(H無)(以下、サイバーセキュリティ)を取り上げます。

ハイテク銘柄は、今までも結構ありました。ロボット・テクノロジー、グローバルAI、次世代通信、グローバル・ロボティクス…。

ハイテク銘柄は、なんだか気分が上がります。売る方も売りやすいんでしょうね。

実際、サイバーセキュリティは売れてます。2年2か月で、純資産はなんと1,100億円以上に到達。

そんなに売れているこのファンド、一体どんなものなのかを、これから見ていきたいと思います。

1 ファンドの特色

主として日本を含む世界のサイバーセキュリティ関連企業の株式に投資を行う。投資にあたっては、サイバーセキュリティの需要拡大および技術向上の恩恵を享受すると考えられる企業の株式の中から、持続的な利益成長性等を考慮して組入銘柄を選定する。アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ユーエス・エルエルシーに運用指図に関する権限を委託する。原則として為替ヘッジを行わない。ファミリーファンド方式で運用。6月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は次のとおりです。

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(引用元:交付目論見書)

そもそも、サイバーセキュリティとは何でしょうか。

デジタル大辞泉によると、サイバー攻撃に対する防御行為。コンピューターへの不正侵入、データの改竄(かいざん)や破壊、情報漏洩(ろうえい)、コンピューターウイルスの感染などがなされないよう、コンピューターやコンピューターネットワークの安全を確保すること、とのことです。

これは、これからも間違いなく重要な仕事ですね。

組入上位銘柄には、マイクロソフトを始めとする著名な企業とともに、あまり聞いたことがない企業も並んでいます。

サイバーセキュリティという分野だけに、消費者向けよりも法人向けサービスが中心だからでしょうね。

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

紫色の線がサイバーセキュリティです。

2019年1月以降、急激に上昇し、4月に30%超、いったん下落した後、7月には33%超まで上昇しました。

しかし、その後はまた大きく下落し、10月にやや持ち直したものの、現在は14%超の上昇にとどまっています。

10月は、国内、先進国、新興国とすべての株式クラスが下落しているにもかかわらず、弱いながらも上昇しているのは目を引きます。

また、上昇下落の変動の大きさも、インデックスファンドよりはるかに大きいですね。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

サイバーセキュリティの年間リターンは、この5ファンドの中では圧倒的に高く、2%近い信託報酬を差し引いても、その事実は変わりません。

投資家の人気を集めるわけです。

一方で、年間標準偏差の高さは5ファンドの中で最も高く、典型的なハイリスク・ハイリターンのファンドということができます。

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

2018年12月に基準価額が大きく下落した時を除き、ほぼ一貫して上昇しています。

5 総口数の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

こちらも、2019年2月に若干減少した以外は、ほぼ一貫して上昇しています。

2018年12月、2019年5、8、9月と下落した際も変わらずに上昇していますので、投資家の人気はかなり強いように思われます。

6 終わりに

サイバーセキュリティはハイリターンではありますがハイリスク、一般に避けるべきと言われることの多いテーマ型のアクティブ型投資信託で、信託報酬も2%近いです。

しかも、償還日は2022年6月ですので、もう残り3年もありません。償還日近くで下落してリターンがマイナスとなった場合は、もう取り返すことはできません。

個人的にはお勧めできない要素が満載ですが、もし、どうしてもサイバーセキュリティを買いたい場合は、基準価額が下がったところで購入し、上がったところで素早く売り抜ける、逆張りの短期売買が良いのではないかと考えます。もっとも、言うほど簡単ではないと思いますが。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。