HIROBUNが投資信託を比較するブログ

グラフと表による「見える化」を通じて、投資信託を比較します。そして、優れたバランスファンドにより、すべての方にストレスなしの真のほったらかし投資を!

【タイミング売買向き】日経225ノーロードオープンを比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

さて、今回はYahoo!ファイナンスのアクセス数上位の投資信託から、日経225ノーロードオープン(以下、日経225)を取り上げます。

アクセス数上位ということは、注目ファンドといってよいと思いますが、日経平均に連動する投資信託って、今でもそんなに人気があるのかなと最初は思いました。

インデックス投資ブログや米国株式投資ブログを読んでいると、国内株式ファンドのパフォーマンスを評価しない記事が多く、なんとなく、皆さん買ってないような勘違いをしていたのですが、とんでもないですね。

実は純資産額から見ると、日経平均に連動する投資信託ETFを含む)は桁違いの需要(人気?)があります。

例えば、純資産額1位の日経225連動型上場投資信託ETFですが、純資産額はなんと5兆8,900億円以上もあります。

これが普通の投資信託となると、ぐっと規模が小さくなりますが、それでも、7位のインデックスファンド225が純資産額2,200億円、今回の日経225が8位で純資産額1,700億円あります。

日経平均に連動するファンドはS&P500などに連動するファンドと比べると、かなりパフォーマンスが劣るのに、ちょっと不思議な感じがしますが、以下の「5 総口数の推移」で書くように、どうもインデックス型の国内株式ファンドは、長期投資の対象としては考えられていない節があります。

1 ファンドの特色

購入時及び換金時に手数料がかからないノーロードタイプのインデックスファンド。原則として日経平均株価採用銘柄の中から200銘柄以上に等株数投資を行い、日経平均株価に連動する投資成果を目指す。8月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は次のとおりです。

f:id:indexhikaku:20191006174834p:plain

(引用元:交付目論見書)

組入銘柄1位のファーストリテイリングが、純資産総額のうち8.55%も占めているのがかなり目を引きます。

2 基準価額変動率の推移

f:id:indexhikaku:20191006180052p:plain

(出典:Yahoo!ファイナンス

いつもは、国内株式はTOPIXに連動するインデックスファンドと比較しているのですが、今回はあえて、同じ日経平均に連動するSlim国内株式(日経平均)と比較してみました。

日経225は紫色の線ですが、その差は非常に僅かではあるものの、より信託報酬の低いSlim国内株式(日経平均)のほうが、リターンが高くなっています。

3 リターンとリスク

f:id:indexhikaku:20191006180155p:plain

(出典:Yahoo!ファイナンス

同じ日経平均に連動するインデックスファンドですが、日経225のほうがSlim国内株式(日経平均)よりも年間リターンが低く、信託報酬の差も加えると、その差は1.3%にもなります。

長期投資家なら、当然、Slim国内株式(日経平均)を選択すると思います。

一方で、老舗の日経225の純資産額は、比較的最近設定されたSlim国内株式(日経平均)の74倍もあります。

では、いつの日か、Slim国内株式(日経平均)の純資産額が日経225を逆転する、あるいはそこまでは行かないまでも、近づくことはあるのでしょうか。

しかし、話はそう単純ではないようなのです。

4 純資産の推移

f:id:indexhikaku:20191006180247p:plain

(出典:Yahoo!ファイナンス

2018年9月の1,541億円から同年10月の1,930億円に急増しているのが目を引きますが、このとき、実は基準価額が急落していました。 

基準価額が急落しているのに、純資産が急増したということは、基準価額の下落以上に総口数が急増したことを意味します。

5 総口数の推移

f:id:indexhikaku:20191006183951p:plain

(出典:Yahoo!ファイナンス

そこで、今回は日経225の総口数と基準価額の関係をグラフ化してみました。

赤色の線が総口数で左側の目盛り、青色の線が基準価額で右側の目盛りです。

皆さんは見事な上下対象の線だと思いませんか。私は思いました。

基準価額が上がると総口数が減少し(投資信託が売られ)、基準価額が下がると総口数が増加し(投資信託が買われ)ています。

これは典型的なタイミング売買(逆張りのうねり取り)ですね。

機関投資家や、少し前なら相場師と言われたような玄人投資家の売買だと思います。

このような投資家は、おそらく1.3%の年間リターンの差など気にしないでしょうし、それよりも流動性(いつでも大量に売買できること)を重視するでしょう。

つまり、Slim国内株式(日経平均)が販売されても、タイミング売買を行う投資家にとっては、日経225の存在価値は変わらないのではないかと思われます。

6 終わりに

以上から、日経225がタイミング売買の対象となっていることが推測できましたが、ということは、よりタイミング売買に適している日経平均に連動したETF群もまた、同様にタイミング売買の主戦場となっていると思われます。

タイミング売買では、価格が上下に動くことが利益を生み出すことにつながります。

価格が下がれば安い価格で仕入れるために買い、価格が上がれば利益を確定するために売ります。以降、それを繰り返します。

タイミング売買にとっては、価格が下がり続けることは(買いどきがわからないので)望ましくありませんが、上がり続けることも(売りどきがわからないので)あまり望ましくありません。

これらは商売と同じで純粋に経済的な行為であり、何も間違ってはいないのですが、インデックス投資家が考える投資とは異なりますよね。投資と投機の違いとして説明されることもあります。

いずれにしても、国内株式ファンドは上記のようなタイミング売買が基準価額の動きに大きく影響していることを十分認識する必要があると思います。

以上から、やはり国内株式ファンドは(単独では)あまり長期投資には向かないですが、タイミング売買ができる投資家には十分需要があると言えます。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。