【2019年10月期】資産クラス別FとバランスF、それぞれを比較してみる
こんにちは。HIROBUNです。
10月も今日で3日、本当は昨日書きたかったのですが、風邪気味なのと飲み会で断念しました。どちらもブログには強敵ですね。
さて、今回は、いつもと少し趣向を変えて、資産クラス別ファンドとバランスファンドのそれぞれを比較してみます。
その理由ですが、スタートの基準価額が昨年の9月と10月では異なるため、これに伴って、グラフの形もリターンの数字もかなり変わりましたので、これは皆さんにも参考になるのではと思ったためです。
1 資産クラス別ファンド
(1) 基準価額変動率の推移
資産クラス別では、やはり国内リートクラスの上昇が目を引きます。その次が先進国リートクラスですね。
しかし、もっと気になるのは、9月は国内債券クラス以外のすべての資産クラスが上昇していたのに、10月は国内株式クラス以外のすべての資産クラスが下落していることです。
この動きは、今後さらに大きくなるのでしょうか。
バランスファンド購入者の私にとっても、気になる動きです。
(2) リターンとリスク
グラフでは気になる動きがあったものの、上の表で見る限りは、国内株式クラス以外のすべての資産クラスのファンドは、年間リターンがプラスになっています。
特に国内リートクラスは年間30%にも迫る圧倒的なリターンを叩き出しており、日本の不動産が再びバブルになりはしないかと、逆に心配になるくらいです。年間標準偏差も新興国債券クラスよりも低い数字となっています。
2 バランスファンド
(1) 基準価額変動率の推移
バランスファンドの中で、私がほったらかし投資中の野村7資産は、一番リターンが高くなっていますが、それでも2019年4月までは、他のバランスファンドとそれほど変わらなかったことが分かります。
そして、やはり気になるのは、10月に入って、すべてのバランスファンドの基準価額がが下落していることです。
まあ、そんなときは、下落してもこの中では1位だからと自分を慰めるわけですが。
(2) リターンとリスク
基準価額のスタートが2018年10月に変わったことで、年間リターンが大幅にアップしました。
最も低いリターンでも3%以上、野村7資産に至っては10%以上と素晴らしいリターンになっています。
これは、2018年10月に基準価額が下落したためですが、投資信託も株と同様に、買った時期によってリターンは大きく変わるわけですね。この点からもリターンは水物と言えます。
その点、年間標準偏差は、買った時期によって大きく変わることはあまりないようです。
なお、個々のバランスファンドについては、過去記事ほかに詳しく書いておりますので、ご興味、ご関心がある場合は是非お読みください。
3 終わりに
日米ともに株式が下落しています。また、景気の後退に関する報道も増えてきたように感じます。
資産クラス別ファンドにも、バランスファンドにも、すでに株式下落の影響が現れていますが、これが一時的なものにとどまるのか、それとも暴落といったレベルまで行くのか。
正直、そこまでは考えたくないですが、暴落時にも淡々と積み立てた投資家こそ成功しているのも事実ですので、万が一そうなったとしても、このブログを書きながら、冷静にやり過ごしたいと思っています。
今回はここまでです。ではまた。
※投資は自己責任でお願いします。
【低リスクですが】結い2101を比較してみる
こんにちは。HIROBUNです。
いつも当ブログをご利用いただき、ありがとうございます。
さて、今回は、Yahoo!ファイナンスのアクセス数から、人気ファンドの結い2101を取り上げます。運用会社である鎌倉投信も有名ですね。
結い2101は、以前にも取り上げました。
このときは、ひふみ投信、コモンズ30ファンドと比べて、結い2101が優位にあることを記事に書きましたが、今回はどうでしょうか。
1 ファンドの特色
主要投資対象は、国内外の金融商品取引所上場株式(上場予定予定を含む)および未上場株式。主として国内の株式市場の中で、投資家の長期的な資産形成と社会の持続的発展に貢献できる企業を対象として、その時点で市場価値が割安であると考えられる銘柄を選別し、長期的に分散投資する。原則として、為替ヘッジは行わない。7月決算。(引用元:モーニングスター)
資産配分は次のとおりです。
上段右側の主要な資産の状況ですが、あまり聞いたことのない企業名も並んでいます。投資比率1位のKOAは固定抵抗器で世界首位級の企業とのことです。
モーニングスターのカテゴリーでは国内小型グロースとなっています。
また、目を引くのは下段右側の組入構成比率です。
株式が占める割合が6割しかありません。残りの4割は債券とコールローン、その他となっています。そこで、コールローンについて調べてみました。
コールローンとは、短期市場における資金の貸し手側から見た運用資金のこと。極めて短期(通常1日)の資金をやりとりするコール市場において、資金の貸し借りが行われるが、その際の貸し手側から見たお金をコールローンといい、借り手側から見るお金をコールマネーという。投資信託の場合、短期の資金運用としてコールローンが活用される。(出典:(社)投資信託協会)
要するに、債券と、短期の債券や現金に近いものが4割を占めているものと思われます。
2 基準価額変動率の推移
紫色の線が結い2101です。
直近の基準価額は青色の線の国内株式ファンドをかろうじて上回る程度でしたが、その前の月までは、国内株式ファンドを上回るパフォーマンスとなっていました。
基準価額の変動が、国内株式ファンドよりも小さいことも目を引きます。
3 リターンとリスク
結い2101は、年間リターンはマイナスでしたが、国内株式ファンドと比較すると若干リターンが上回りました。
しかし、それもインデックス型の国内株式ファンドよりも大幅に高い信託報酬を差し引くと、逆に国内株式ファンドを下回るパフォーマンスとなってしまいます。
また、年間標準偏差は国内株式ファンドよりも大幅に低く、上記5つのファンドの中では、バランスファンドに迫るレベルとなっています。
これには、ファンド全体に占める株式の割合が6割しかないということも、大きく影響しているものと考えます。
4 純資産の推移
2018年2月の340億円超から同年9月の390億円超まで、一気に50億円以上増加しましたが、2018年12月にいったん360億円超まで下落し、その後は390億円前後を天井として、上昇と下落を繰り返しています。
5 総口数の推移
2018年2月の175億口から2019年3月の210億口まで、ほぼ一直線に増加しましたが、なぜか、2019年4月にかけていったん下落し、その後、再び現在まで増加を続けています。
この2019年3~4月の5億口の減少の理由ですが、その間の結い2101の基準価額を見ると上昇はしていますが、他の株式クラスのファンドよりは上昇率が低かった(グラフの傾きが緩やかだった)ことが分かります。
これは、債券や現金の比率が4割あることの影響だったと思われます。ここからはあくまでも推測ですが、投資家がこの間の結い2101のパフォーマンスが、他の株式クラスの投資信託よりも劣っていたことを嫌気したせいなのかもしれません。
終わりに
結い2101は、投資家の長期的な資産形成と社会の持続的発展に貢献できる企業を対象として分散投資を行うという方針が投資家に支持されて、総口数の推移を見ても、かなりの人気ファンドとなっています。
また、実際のリターンも、インデックス型の国内株式ファンドと大差なく、一方でリスクはかなり低くなっていて、投資家にとっては安心できる投資信託の一つとなっているのかもしれません。
しかし、もし私が結い2101を購入していたとしたら、貴重な資金を預けて運用してもらうからには、いくら国内株式市場全体のパフォーマンスが振るわなかったとしても、何とかしてプラスのリターンを出してほしいと思ったでしょう。
また、信託報酬を差し引いた後の年間リターンが、インデックス型の国内株式ファンドより低いことを知ったら、失敗したと思うかもしれません。
つまり、アクティブファンドは、投資家の期待に応えるためにも、まずは実際のパフォーマンスをプラスにする、それもインデックスファンドよりもプラスにすることが、何よりも重要だと私は思います。
一言で言えば、他人に自信を持って勧められますか?という話です。
今回はここまでです。ではまた。
※投資は自己責任でお願いします。
トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドを比較してみる
こんにちは。HIROBUNです。
いつも当ブログをご利用いただき、ありがとうございます。
季節の変わり目で少し風邪を引いてしまいました。病気になると健康が一番大事であることを痛感しますね。皆さまもお気を付けください。
さて、今回はトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド(以下、トヨタファンド)を取り上げます。
トヨタ自動車と言えば、売上高30兆円、営業利益2兆4千億円(2019年3月期 決算短信より)、大学生の就職人気ランキングで第2位(キャリタス就活2020より)の日本を代表する企業ですね。
そのトヨタ自動車の社名を冠した投資信託があることは、今回初めて知りましたが、さすがトヨタだと思わされます。
1 ファンドの特色
トヨタ自動車およびそのグループ会社のうち、国内の取引所第一部に上場している株式から流動性を勘案した銘柄に投資。銘柄の投資比率は、組入銘柄の時価総額に応じて決定。トヨタ自動車株式約50%、残りの約50%をグループ会社株式の各銘柄の時価総額に応じた比率で投資。原則、四半期毎に投資比率を調整。ファミリーファンド方式で運用。11月決算。(引用元:モーニングスター)
資産配分は次のとおりです。
2 基準価額変動率の推移
紫色の線がトヨタファンドです。
直近の基準価額は青色の線の国内株式ファンドをかろうじて上回りましたが、それより前の月は、国内株式ファンド以下のパフォーマンスが続いていました。
トヨタファンドの基準価額の変動が、国内株式ファンドよりも大きいことも目に付きますね。
3 リターンとリスク
トヨタファンドは、国内株式ファンドと比較すると若干年間リターンが高いですが、トヨタファンドは年1回分配金を支払っています。
直近の分配金が410円で、利回りとしては1.86%であることから、その分を合計すれば年間リターンはさらに高いことになります。
しかし、それでも、先進国株式ファンドには全く及ばないパフォーマンスです。
また、年間標準偏差は国内株式ファンドよりもかなり高く、新興国株式ファンドを超えるレベルであり、この中では最も高リスクとなっています。
4 純資産の推移
基準価額の変動が大きいことも影響して、純資産の変動も大きく、数十億円規模の上昇と下落を繰り返しています。
ただし、このグラフにおいては、一応上昇基調にあることが分かります。
5 総口数の推移
総口数の推移としては、こちらも一応上昇基調にありますが、2019年の3~4月と8~9月に減少しています。
基準価額変動率の推移のグラフを見ていただくとその理由が分かります。
この2つの期間、トヨタファンドの基準価額は比較的大きく上昇しています。
つまり、トヨタファンドを購入している投資家は、この期間に利食い(売却)をしているんですね。
そして、基準価額が下がると買い戻すという、いわゆるタイミング売買です。
ですから、基準価額が今後下がれば、総口数はおそらく増加するものと思われます。
終わりに
トヨタファンドは、トヨタ自動車という日本企業では最高のブランド価値で買われている部分が大きいと思います。
また、売る側としても、だからこそ売りやすいのだと思います。
しかし、総口数の変化を見ると、別の側面も見えてきます。
年間標準偏差が大きく、値動きが激しいために、タイミング売買に向いていると考えてトヨタファンドを買っている投資家も一定数いるのではないかということです。
このような投資信託ですので、トヨタが好きで好きでたまらない方や、タイミング売買が得意な方だけにおすすめしたいですね。
バランスファンド派の私は、もちろん買いません。
今回はここまでです。ではまた。
※投資は自己責任でお願いします。
【必見おまけ付き】楽天・全米株式インデックス・ファンドを比較してみる
こんにちは。HIROBUNです。
いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。
さて、今回は楽天・全米株式インデックス・ファンド(以下、楽天全米株)を取り上げます。
皆さまご承知のとおり、楽天全米株は、米国株式ブームの中、人気ETFであるバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(略称VTI)に簡単に投資できる投資信託として大変な人気を集めてきました。
投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018でも4位の人気となっています。
私も人気ブロガーの記事で、楽天全米株は、つみたてNISAのファイナルアンサーと書かれているのを読み、実際に購入したこともあります(現在は売却済)。
1 ファンドの特色
楽天・全米株式インデックス・マザーファンド受益証券への投資を通じて、CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果を目指す。対象指数に連動する上場投資信託証券(ETF)の「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」を実質的な主要投資対象とする。原則として、為替ヘッジは行わない。ファミリーファンド方式で運用。7月決算。(引用元:モーニングスター)
資産配分は次のとおりです。
要するに、VTIを買うだけの投資信託ですね。
2 基準価額変動率の推移
楽天全米株は、紫色の線です。Fund of the Year 2018で人気1位のSlim先進国株(赤色の線)とほぼ重なるような動きですね。7月以降は、ほんのわずかですが、楽天全米株式がSlim先進国株を上回っています。
3 リターンとリスク
楽天全米株は、他の株式ファンドと比べ、(マイナスではありますが)最も年間リターンがよく、年間標準偏差もSlim先進国株より若干大きい程度です。
信託報酬もSlim先進国株よりも0.05ポイント高いですが、十分低コストです。
純資産もどちらも500億円超と、Slim先進国株とはまさに好敵手といった感じです。
4 純資産の推移
人気ファンドだけあって、楽天全米株の純資産は2018年2月の75億円から現在の573億円まで、ほぼ右肩上がりに一直線で増加しています。
2018年11月から12月にかけて、米国株の低迷を受けて若干減少したのがわずかに目立つくらいでしょうか。
5 総口数の推移
総口数も純資産同様に、2018年2月の72億口から現在の501億口まで、右肩上がり一直線です。
2018年11月から12月にかけて純資産が減少した際も、総口数は変わらないペースで増加しています。投資家の信頼は揺るがないといったところでしょうか。
【おまけ】
と、ここまで書いてきて、楽天米国株とSlim米国株、Slim先進国株、そしてこれにFund of the Year 2018で人気2位の大御所ニッセイ外国株も加えて、総口数の伸び(増加した口数)を比べてみたくなりました。
これはイコール最終的に売れた口数となりますから、投資家からの人気を図る最適なバロメーターになると思います。
さあ、この中で真の人気ファンドはどれなのでしょうか。グラフで見てみます。
どうでしょうか。4つのファンドはそれぞれ設定日が異なりますので、最初から総口数の差があります。当然、一番古株のニッセイ外国株の総口数が一番多いです。
しかし、同じ期間に増加した口数はどうでしょうか。
青色の線の楽天全米株と黄色の線のニッセイ外国株を比べると、口数の差が徐々に縮まっている(線の線の間が狭くなっている)ことがお分かりでしょうか。
これを数字でお示しすると、2018年2月には467億口あった差が、現在は337億口まで縮まっています。
また、楽天全米株とオレンジ色の線のSlim米国株を比べると、こちらは反対に口数の差が徐々に広がっている(線と線の間が広くなっている)ことがお分かりでしょうか。
これを数字でお示しすると、2018年7月には138億口あった差が、現在は223億口まで広がっています。
つまり、楽天全米株は、ニッセイ外国株及びSlim米国株よりも人気があることが分かります。
ちなみに、Slim先進国株は楽天全米株よりわずかに総口数が少ないだけで、こちらもニッセイ外国株及びSlim米国株よりも人気があります。
終わりに
皆さまご承知のとおり、SBI証券が、S&P500指数への連動を目指す投資信託のSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド(以下、SBIバンガードVOO)の発売をスタートしました。
当初の純資産額が16億円を超えたということで、一応の成功と言われています。
しかし、上で書きましたように、連動をめざす指数こそ異なりますが、実態としてはほとんど同じパフォーマンスの人気ファンドがすでに複数あるわけです。
しかも、SBIバンガードVOOの直接のライバルとなるSlim米国株よりも、楽天米国株のほうが売れていることが分かりました。
SBI バンガードVOOは確かに圧倒的に低い信託報酬で参入し話題となっていますが、果たして、上記の人気ファンドからの買い替えを促すほどの訴求力はあるのでしょうか。
限られたパイを奪い合うだけの競争となるようなら、今後は甘くないのではないかと私は考えます。
まあ、いずれにしても、バランスファンド派の私は買わないのですが。
今回はここまでです。ではまた。
※投資は自己責任でお願いします。
【変種】BR・ゴールド・メタル・オープンAコースを比較してみる
こんにちは。HIROBUNです。
昼間はまだ暑いですが、朝晩は随分涼しくなりましたね。そうこうしているうちに、もうすぐ10月、早いものです。
さて、今回は、BR・ゴールド・メタル・オープンAコース(以下、ゴールド・メタル)を取り上げます。
…って、皆さんはこの投資信託をご存知でしたか?私は全く知りませんでした。
しかし、Yahoo!ファイナンスではアクセス数上位の注目ファンドです。
その理由は、後で見ますが、この投資信託の年間リターンが何と50%近くもあることでしょうね。投資信託としては極めて異例です。
1 ファンドの特色
南アフリカ、オーストラリア、カナダ、アメリカ等の金鉱企業の株式を中心にその他鉱業株式を主要投資対象として、積極的な運用を行う。各企業の金埋蔵量、産金コスト等を推計・分析し、割安と考えられる銘柄に厳選投資する。原則として為替ヘッジを行う。ファミリーファンド方式で運用。2、8月決算。(引用元:モーニングスター)
資産配分は次のとおりです。
組入上位10銘柄を見ると、カナダ、アメリカ、オーストラリア、イギリスの会社が並んでいます。ウィキペディアによると、1位のBarrick Gold Corporationは、カナダのオンタリオ州トロントに本社を置く、世界最大の金鉱会社とのことです。
国別で見ても、カナダ、オーストラリア、アメリカ、イギリスの株式で83.2%を占めています。
2 基準価額変動率の推移
ゴールド・メタルは紫色の線です。株式ファンドとは一線を画す圧倒的なパフォーマンスを見せています。
ゴールド・メタルと比べると、株式ファンド(とバランスファンド)の線がほとんど水平に見えます。
ところどころで株式ファンドとは反対の動きを見せているのも興味深いですね。
3 リターンとリスク
ゴールド・メタルで目立つのは何と言ってもその圧倒的な年間リターンです。アクティブファンドとしても高い2%以上の信託報酬を差し引いてもなお、45%以上のリターンを誇ります。
年間標準偏差も思ったより低く、この1年間を見る限り、新興国株式より低リスクとなっています。
4 純資産の推移
2018年11月からの基準価額の上昇を反映して、基本的には大きく増加しています。
しかし、その前は大きく減少しており、2019年4月と9月にも減少を見せています。
5 総口数の推移
一番驚いたのが、ゴールド・メタルの総口数の変化です。
その変化の激しさもさることながら、基準価額が大きく上昇し始めた2019年5月から総口数が大きく減少し始め、その動きは最も基準価額が高かった2019年8月にも変わりませんでした。
おそらくですが、ゴールド・メタルは、その基準価額の変動の大きさから、購入者には短期売買を目的とする投資家が多く、そのような投資家が、基準価額が上昇したところで利益確定(売却)を図ったために、総口数が減少したものと考えられます。
6 終わりに
ゴールド・メタルは、この1年間は確かに驚異的なリターンを生み、投資した投資家は大きな利益を得られたことと思います。
しかし、これは個別株のタイミング売買と基本的に同じものであり、本来望ましいとされる長期投資とは全く別の投資法です。
その証拠というわけではありませんが、ゴールド・メタルの基準価額は2101年12月には12,000円以上あったのが、直近では4,800円台となっており、決して長期投資に向いた投資信託とは言えません。
短期投資家はともかく、長期投資家は目先のリターンに惑わされないようにしなければなりませんね。
今回はここまでです。ではまた。
※投資は自己責任でお願いします。
【大人気】eMAXIS Slim米国株式(S&P500)を比較してみる
こんにちは。HIROBUNです。
いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。
さて、今回は注目ファンドとして、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)(以下、Slim米国株式)を取り上げます。
S&P500指数に連動するETFは、世界最高の投資家の一人であるバフェットが、妻に自分が亡くなった後はこれだけを買っておけば良いと言ったとされています。
このS&P500指数に、低コストの投資信託で簡単に投資できるようになったため、投信ブロガーに非常に人気がありますね。
投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018では8位に入っています。
バランスファンド派である私でさえ、思わず買いそうになります。
1 ファンドの特色
主要投資対象は、S&P500インデックスマザーファンド受益証券。なお、米国の株式に直接投資することがある。主としてS&P500指数(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果をめざす。対象指数との連動を維持するため、先物取引等を利用し株式の実質投資比率が100%を超える場合がある。原則として、為替ヘッジは行わない。ファミリーファンド方式で運用。4月決算。(引用元:モーニングスター)
資産配分は次のとおりです。
組入上位10銘柄を見ると、S&P500なので当然ですが、マイクロソフト、アップル、アマゾンを始め、米国を代表する企業が並んでいます。
2 基準価額変動率の推移
Slim米国株式は紫色の線です。2019年の1月と2月にかすかに先進国株式ファンドを下回りましたが、他の月はわずかですが先進国株式ファンドを上回っています。いずれにしても、60%以上が米国株式からなる先進国株式ファンドの動きと大した違いはありません。
3 リターンとリスク
Slim米国株式は、他の株式ファンドと比べ、(マイナスではありますが)最も年間リターンがよく、年間標準偏差も先進国株式ファンドとほぼ同じです。
信託報酬も最も低コストな先進国株式ファンドよりは高いものの、十分低コストと言えるレベルです。
なお、インデックス投資家の間では、先進国株式と米国株式と、どちらが投資対象として適切かという議論があります。
先進国株式派は、米国がいつまでも最強とは限らない、他の先進国も入れるべきと言い、米国株式派は、米国最強、米国以外はパフォーマンスの足を引っ張るだけと言っています。
私は理屈よりも実績重視ですので、どちらかを選べと言われたら、今は米国株式ですね。
4 純資産の推移
1年2か月前の9億円から現在の304億円まで、ほぼ一直線に増加しています。販売会社がたった13社しかないことを考えると素晴らしい伸びと言えます。
「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018」で1位のeMAXIS Slim先進国株式インデックスでさえ2年7か月で587億円ですから、それを超えるペースで増加していることになります。
5 総口数の推移
こちらも、1年2か月前の9億口から現在の277億口まで、ほぼ一直線に増加していましたが、よく見ると8月から9月にかけての増加は、その前よりも少し伸びが鈍ったように見えます。
この理由ですが、皆さまご存じの方も多いと思いますが、この8月にSBI証券が、同じS&P500指数への連動を目指す投資信託のSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドを発表しました。
これだけでも、Slim米国株式の口数の伸びに影響があると思いますが、投信ブロガーに衝撃を与えたのは、その信託報酬の低さでした。
なんと、年0.09264%程度(SBI証券のプレスリリースより)と、Slim米国株式の57%しかありませんでした。
この非常に戦略的な値付けに対して、いつもは有言実行ですぐに対抗値下げをする三菱UFJ国際投信株式会社(以下、三菱UFJ国際投信)が、これまでのところ対抗する様子を見せておらず、Slim米国株式の信託報酬の値下げがあるのかないのか、大人気の投資信託だけあって、投信ブロガーの間でもかなり話題になっているようです。
三菱UFJ国際投信が対抗値下げをすれば、 Slim米国株式の牙城は揺るがないでしょうが、対抗値下げをしない場合は、一気にSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドに市場を奪われる可能性もあります。
投資家は、そこを見極めるために、Slim米国株式の購入を保留している、あるいは対抗値下げはないと見極めて、SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドに流れたというのが、私が考える総口数の伸びの鈍化の理由です。
6 終わりに
米国株式への投資は、国内株式への投資よりも、はるかに高いパフォーマンスが期待できるということで、投資家の間で非常に人気となっています。
特に、S&P500指数に連動した投資信託への投資は、投資の初心者にも容易で、かつ、長期的なリターンは鉄板であるとされています。
このような中で、Slim米国株式は一人勝ちかと思われましたが、ネット証券の雄であるSBI証券が思い切って勝負に出ました。
三菱UFJ国際投信にとっては、想定外だったかもしれませんが、このような競争は投資家にとっては非常に良いことですね。
バランスファンド派の私としては、外野から興味半分で見させていただくだけですが、どちらが勝つにしても、このような良質なファンドが、スタンダードな投資信託として売れ筋になるのが理想ですね。
今回はここまでです。ではまた。
※投資は自己責任でお願いします。
【お前もか】ロボット・テクノロジー関連株F-ロボテック-を比較してみる
こんにちは。HIROBUNです。
いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。
さて、今回は投資信託の比較を行う前に、比較方法の一部見直しについて書いてみたいと思います。
これまで、Yahoo!ファイナンスのアクセス数上位の投資信託を、同じ資産クラスのインデックスファンドと比較することにより、その実態を明らかにしようしてきました。
まだ試行錯誤の面もありますが、自分では、基本的な比較の手法は概ね固まってきたと考えています。
しかし、実はどこか物足りない思いがありました。それは、自分がほったらかし投資を行っているバランス型の投資信託との比較がないことでした。
もちろん、株式型の投資信託には株式しか含まれていないのに対し、バランス型の投資信託には株式だけでなく債券もリートも含まれていますので、直接比較するのは適当でないことは十分承知しています。
しかし、ある投資信託を同じ資産クラスのインデックス型投資信託と比較した記事を読んだだけでは、誰もバランス型投資信託を購入しようとは思いません。
しかし、それでは「優れたバランスファンドにより、すべての方にストレスなしの真のほったらかし投資を」実践していただきたいという当ブログの真の目的は達成されません。
そこで、今回から、今注目の投資信託をインデックス型投資信託と比較する際には、野村7資産をそっと隣に置き、皆さまに基準価額の動きや各種数値をご参考までに見ていただこうと思います。
ただし、誤解しないでいただきたいのは、私の考えを押し付けるつもりは毛頭ないということです。管理人はこういう投資信託を購入しているということを知っていただくだけで十分です。したがって、原則として説明等も行いません。
なので、野村7資産よりもパフォーマンスが良い投資信託についても、当然、野村7資産と一緒に比較します。
その結果、もしかしたら野村7資産からその投資信託に乗り換えることになるかもしれませんが、それはそれで誰も損はしないので良しと思っています(笑)。
以上、どうぞご了承ください。
それでは、前置きが長くなりましたが、今回は注目ファンドとして、ロボット・テクノロジー関連株F-ロボテック-(以下、ロボテック)を取り上げます。
このファンドも、純資産が2,900億円を超える巨大なファンドです。
1 ファンドの特色
日本を含む世界のロボット関連企業の株式に投資。「高度な技術力」「強力な経営陣」「価格決定力および業績上方修正の可能性」等を考慮して選定した組入候補銘柄の中から、アクサ・インベストメント・マネージャーズの企業調査機能等を活用し、ポートフォリオを構築。原則として為替ヘッジは行わない。ファンドオブファンズ方式で運用。3、9月決算。(引用元:モーニングスター)
資産配分は、アクサ IM・グローバル・ロボット関連株式ファンド(為替ヘッジなし)が99.5%となっており、その内訳は次のとおりです。
米国株が60%以上を占め、次いで日本株が15%以上を占めています。組入上位10銘柄中、米国企業が9社を占め、筆頭銘柄はグーグルを運営するアルファベットとなっています。
2 基準価額変動率の推移
ロボテックは紫色の線です。変動の激しさが目に付きますが、最初の4か月は、インデックス型の株式ファンドを下回り、5か月目以降は日本株式を上回りました。
7か月目で僅差で株式ファンドのトップに立ちましたが、その後は先進国株式を下回ったリターンのまま、現在に至っています。
3 リターンとリスク
ロボテックは、年間リターンは先進国株式を2.3ポイント以上下回りますが、その差は信託報酬差引後はさらに開き、4ポイント近くも下回ります。
また、グラフで見た変動の激しさのとおり、年間標準偏差が先進国株式よりも9ポイント、新興国株式とくらべても比べても、6ポイント以上高く、この中では最も高リスクな投資信託となっています。
4 純資産の推移
グロバルAIに続き、なんだか既視感ありまくりですが、ロボテックも凄まじい勢いで純資産が減っています。13か月前は4,077億円もあったのが、現在は2,908億円と、1,169億円も減少しています。
5 総口数の推移
リターンの低迷、高い信託報酬、高いリスクを反映して、こちらも純資産と同様に凄まじい勢いで減少しており、16か月前の3,212億口をピークとして、現在は2,281億口と、931億口も減少しています。
6 終わりに
グロバルAIもそうでしたが、ロボテックも急激に総資産、総口数ともに減らしてきており、投資家の人気が離れてしまったように見受けられます。
それにしても、AIだのロボットだの一般受けするテーマで投資家の関心を惹き、高信託報酬、高リスク、低リターンの粗悪な投資信託を販売することは、そろそろ規制してほしいと個人的には考えます。
しかし、金融庁は、金融を取り巻く環境が急激に変化する中にあっても、(1)金融システムの安定/金融仲介機能の発揮、(2)利用者保護/利用者利便、(3)市場の公正性・透明性/市場の活力のそれぞれを両立させることを通じて、企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指すことを目標とし、金融行政に取り組んでいます。(引用:金融庁のホームページ)
そして、皆さまご存知のとおり、日銀のマイナス金利政策のもと、地方銀行を始めとする各金融機関の経営状況は近年極めて厳しくなっており、顧客に手数料の高い投資信託を販売すること等でしか収益を上げられなくなっています。
つまり、金融庁は、投資信託を規制すれば金融システムの安定ができず、逆に投資信託の規制をしなければ利用者を保護できないという、極めて難しい立ち位置にいるわけです。まあ、金融システムの安定が利用者保護に優先するとは言えないでしょうが…。
であれば、投資信託については、当面は今と同じ「不適切販売」が否応なく続くことが考えられ、そうなると結局、投資家は自分でしっかり情報収集することによって、自分の金は自分で守るしかないという、令和の時代にあって、何とも救いがなくやりきれない話に落ち着いてしまうのかもしれません。
ということで、今回はここまでです。ではまた。
※投資は自己責任でお願いします。