HIROBUNが投資信託を比較するブログ

グラフと表による「見える化」を通じて、投資信託を比較します。そして、優れたバランスファンドにより、すべての方にストレスなしの真のほったらかし投資を!

【解約増】グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年)を比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログを読んでいただき、ありがとうございます。

前回は、Yahoo!ファイナンスの注目ファンド第1位のひふみプラスを取り上げました。

今回は、グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年)(以下、グロロボファンド)を取り上げたいと思います。

なお、ファンドの比較にあたっては、原則として年1回決算で条件を揃えたいため、毎月決算、毎月分配型は対象外とします。

早速、ファンドの特色です。

世界各国の株式の中から主にロボティクス関連企業の株式に投資を行う。産業用やサービス用などのロボットを製作する企業のみならず、ロボット関連技術であるAI(人工知能)やセンサーなどの開発に携わる企業も投資対象とする。銘柄選定は、株式のアクティブ運用に注力するラザード社が、徹底した調査に基づき行う。外貨建資産への投資にあたっては、原則として為替ヘッジを行わない。ファミリーファンド方式で運用。7月決算。(引用元:モーニングスター

ラザード社、勉強不足で知りませんでした。きっと有名なのでしょう。

続いて、資産配分です。

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(画像元:交付目論見書)

株式が97%で、内訳を見ると、アメリカ株が45.4%、日本株が29.4%と、この2つの国の株式で75%近くを占めています。組入銘柄数は53銘柄と、インデックス型ファンドほどは分散されていません。 

私は1位の企業は知りませんでしたが、2位の企業は高給で有名ですし、3位の企業はグーグルの運営会社として、あまりにも有名な企業です。

次に、グラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

紫色の線がグロロボファンドです。最も近い動きをしているのは、赤色の線のインデックス型先進国株式ファンドですが、グロロボファンドは、2019年4月を除くすべての月で先進国株式ファンドをアンダーパフォームしています。

続いて、表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

グロロボファンドでまず目につくのは、純資産の大きさです。3,600億円以上ある巨大ファンドですが、実は年2回決算の同じファンドはさらに純資産が大きく、4,000億円以上あります。

また、信託報酬は2%に近い高さで、先進国株式ファンドの18倍近くも高コストです。

しかし、年間リターンはマイナスであることに加えて先進国株式ファンドよりも低く、信託報酬を差し引くとその差はさらに広がります。

年間標準偏差は、インデックス型の中でもリスクが高い新興国株式ファンドをさらに上回っています

続いて、純資産の推移です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

1年前は5,200億円もあった純資産が、2018年9月以降、急速に減少しており、反発も非常に弱いものとなっています。

最後に、総口数の推移です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

17か月前の2018年4月には3,569億口あったのが、現在は2,440億口と、1,129億口も減少しています。

終わりに

グロロボファンドは、ロボットやAIというまさに旬なテーマを取り上げたアクティブファンドで、一時は大変な人気を博したようですが、現在は急速に純資産、総口数ともに減少しています。

これは、同ファンドの購入者が、同ファンドのパフォーマンスの悪さにしびれを切らしたことが大きな原因であると思われます。年間リターンがマイナスなのに、信託報酬はしっかり2%近く取られますからね。

やはり、テーマ型かつ高い信託報酬の投資信託には、できるだけ手を出さないほうが良いようです。

また、比較対象とした先進国株式ファンドはインデックス型ではトップクラスの人気ですが、それでもまだグロロボファンドとは純資産総額の桁が違います。

こういった低コストのインデックスファンドが、グロロボファンドのようなアクティブファンドを解約した投資家の受け皿になると素晴らしいのですが。

今回はここまでです。それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【まだ人気?】ひふみプラスを比較してみる(※加筆修正あり、おまけ付き)

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログを読んでくださり、ありがとうございます。

さて、前回も最後に書きましたとおり、今回から、Yahoo!ファイナンス投資信託ランキングで、その日1日あたりのアクセス数が上位のファンドをインデックスファンド等と比較することを始めたいと思います。

これにより、今話題のファンドの実態を皆さまにお届けできれば幸いです。

ということで、記念すべき?第1回は、ひふみプラスです!

・・・って、正直に書きますと、実はあまりやりたくありません(では、やらなければいいじゃんというツッコミはご容赦を(笑))。

というのも、今までも軽く取り上げていますし、Yahoo!ファイナンスのひふみプラスの掲示板を見ると、投資家の皆さんの不満が爆発していますので、何をいまさらと…。

でも、ランキング1位は、良くも悪くも一番盛り上がっているということですので、ここはルールどおりにまいりましょう。

まず、ファンドの特色です。

主要投資対象は、国内外の上場株式。長期的な経済循環や経済構造の変化、経済の発展段階等を総合的に勘案して選ばれた国内外の株式市場のなかで、長期的な産業のトレンドを勘案しつつ、定性・定量の両方面から徹底的な調査・分析を行い、その時点での市場価値が割安と考えられる銘柄に長期的に選別投資し、信託財産の長期的な成長を図る。ファミリーファンド方式で運用。9月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は次のとおりです。

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(画像元:交付目論見書)

最初は超小型株が非常に大きな割合を占めていましたが、徐々にその割合を減らし、現在は、中小型株、大型株が大部分を占めています。

そして、2017年から買い始めた海外株、超小型株、現金等の順になっています。

この資産配分を見て最初に怖いと思ったのが、現金等の比率の小ささです。ほとんどありません。

投資経験のある方は百もご承知でしょうが、銘柄選択に失敗して含み損が出てしまった場合、手元に現金がないと身動きが取れず、損切りするしかなくなってしまいます。

故林輝太郎氏も、投資家には片玉二分の一(資金に対して50%までの売買に抑えること)を強く勧めています。

それでも、個人投資家は自分さえ納得していれば、含み損となっても損切りをせず、塩漬けで放置していても良いわけです。

しかし、ひふみプラスを運用するレオス・キャピタルワークス株式会社のような資産運用会社は、常に顧客から市場平均よりも高い運用成果を求められますので、含み損が生じたまま放置することは許されません。何とか基準価額を上昇させなければならないわけです。

と、ここまで書いて、恥ずかしながら、純資産総額と基準価額の関係についてよく理解していないことに気づきましたので、調べてみました。

基準価額は、投資信託の一口あたりの値段のことで、投資家が投資信託を購入・換金する際は、基準価額で取引が行われます。(1口1円で運用が開始された投資信託は、1万口あたりの基準価額を公表しています)

投資信託の資産のうち、投資家に帰属する額を「純資産総額」といいます。この純資産総額を投資信託の総口数で割ると、一口あたりの価額、すなわち「基準価額」が算出されます。

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純資産総額とは、投資信託に組入れられている株式や公社債等をすべて時価評価し、CD・CPやコールローン等、債券の利息や株式の配当金などの収入を加えた資産総額からファンドの運用に必要な費用などのコストを差し引いたもの。

(以上は、一般社団法人投資信託協会 投資信託の基礎知識から引用)

つまり、純資産総額は時価評価ですので、資産運用会社の投資先企業の株価が下落すれば、当然、純資産総額も減少し、その結果、基準価額が下落するわけですね。

この場合、手元に現金がふんだんにあれば、他に有望な企業の株式に投資し、その株価の上昇で含み損を相殺し、基準価額の下落を抑えることができる可能性があります。また、そうやって含み損を相殺している間に、株価の回復を待つこともできます。

しかし、 手元に現金がない場合は、そのままでは新たな株を買うことはできませんので、基準価額の下落という事態を打開するためには、(融資を受けることを考慮しなければ)投資先企業の株式を売却して現金を作るしかありません

この場合、株価が上昇している企業の株式を売れば、株価がさらに上昇する可能性を捨てることになります。

また、株価が下落している企業の株式を売れば、株価がさらに下落する可能性はなくなりますが、損失=純資産総額の減少=基準価額の下落が確定してしまいます。

どちらにしても、現金がないと資産の運用が一層困難になることは間違いありません。

次にグラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

ひふみプラスは紫色の線です。青色の国内株式(TOPIX)に7月にわずかに勝った以外は、すべての月で負けています

9月に入ってからの株価の上昇も、インデックス型の国内株式(TOPIX)に大きく劣っており、インデックス型よりも高い信託報酬を払っている投資家が不満を持つのは当然のことと言えます。

続いて、表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

株式クラスのインデックスファンドの年間リターンは、少し前までの不安定な株式市場を反映して、国内、先進国、新興国のすべてがマイナスでした。

ひふみプラスは、これらのインデックスファンドと比較すると、年間リターンは一番低く、年間標準偏差新興国に次いで高く(=相対的にハイリスク・ローリターン)、信託報酬は一番高くなっています。

最後に、純資産の推移です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

上のグラフや表で見ていただいたような運用状況を反映して、ひふみプラスの純資産も激しく変動しています。

2018年9月から12月にかけては、6,600億円から5,300億円まで、一気に1,300億円も減少しました。

その後、いったんは6千億円程度にまで回復したものの、その後は弱い反発を挟みつつ、全体としては減少傾向にあります。

終わりに

ここまでひふみプラスについてまとめてきましたが、「ためて、ふやして、進化する。」というキャッチフレーズどおりの資産運営ができているのかについては、1年間の実績を見た限りでは、正直疑問を抱かざるを得ませんでした。

前回も書きましたが、株式投資には逆張りという方法がありますので、ひふみプラスについても、基準価額が伸び悩んでいる今こそ、積極的に買っていくべきだという考えもあるとは思います。

しかし、上に書きましたとおり、資産運営会社に現金が少ないうえに、この状況は、基準価額が改善せず、投資家の解約が増えた場合に、さらに悪化する可能性があります。

したがって、基準価額がすぐに改善することは難しいことが推測されるため、ひふみプラスへの投資の開始・継続については慎重な検討が必要かもしれません。

おまけ

上で、基準価額を出す式をお示ししましたが、この式を総口数を求める式に変形すると、次のとおりとなります。

総口数 = 純資産総額 ÷ 基準価額(一口あたりの価額)

以上を、ひふみプラスについてグラフ化してみますと次のようになります。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

最盛期は2019年2月の1,620億口でしたが、最新の9月では1,575億口となっており、ひふみプラスの総口数が減少し始めています。どうやら、少しずつファンが離れ始めているように見受けられます。

今回はここまでです。それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

バランスファンドを比較してみる(世界経済インデックスファンド編)※修正あり

こんにちは。HIROBUNです。

今朝は涼しかったですね。このまま秋になるのか、それとも、まだ暑さのぶり返しはあるのでしょうか。

さて、今回はバランスファンドの比較の8回目として、こちらも大御所である世界経済インデックスファンド(以下、世界経済ファンド)を取り上げます。

私が世界経済ファンドに持っていたイメージは、セゾングロバラのライバルであり、中身も実績もそれほど大きな違いはないこと、普通のネット証券で買いたい場合は世界経済ファンドで決まりというものでした。

「はじめての人のための3000円投資生活」という積立投資を推奨している本でも、これだけを買っておけば大丈夫なファンドとして、slim8資産と並んで紹介されていた記憶があります。

実際、非常に人気のあるファンドで、純資産は640億円以上と、バランスファンドではセゾングロバラに次ぐ規模を誇っています。

それでは早速、ファンドの特色です。 

主要投資対象は、国内、先進国および新興国の公社債および株式(DR(預託証券)を含む)。基本組入比率は地域別のGDP(国内総生産)総額の比率を参考に決定し、世界経済に占める各地域のGDPシェアの変化に応じて、原則として年1回見直しを行う場合がある。原則として、為替ヘッジは行わない。ファミリーファンド方式で運用。1月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は次のとおりです。

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(画像元:交付目論見書)

株式と債券が50%ずつで、それぞれの内訳は、 地域別のGDP(国内総生産)総額の比率に応じて、先進国分が30%、新興国分が15%、国内分が5%となっています。

次にグラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

一番下の青色の線が、世界経済ファンドです。9月に入ってからの株価の持ち直しで、だいぶ上昇してきましたが、それでもまだ100%のラインには届いておらず、リターンはわずかにマイナスです。

続いて、表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

8つのファンドの中では最も年間リターンが低く、一方、年間標準偏差は2番めの高さであり、わずかな差ではあるのですが、ハイリスク・ローリターンとなっています。

その理由ですが、前回、セゾングロバラでも書きましたが、

・資産配分にリートクラスを含んでいない。

・債権クラスの上昇が、株式クラスの下落をカバーし切れていない。

ことが挙げられます。

ただし、セゾングロバラについて書いた後で考えたのですが、確かに、上記の理由はありますが、気をつけなければいけないのは、今後も必ずリートクラスが上昇するとは限らないということです。

実際、オリンピック後は、日本の地価は暴落するといった記事をしばしば目にすることがあります。

したがって、もし今後、リートクラスが下落した場合は、世界経済ファンドやセゾングロバラが上位のパフォーマンスを示すことになる可能性もありえるわけです。

しかも、そのときに積立投資を継続していれば、今の安い時期に世界経済ファンドを仕込んだ投資家が、最後には笑うことになるわけです。

これが投資に正解はないと言われるゆえんであり、仕方がないことです。

しかし、そう考えると、投資対象ファンドの見直しもおいそれとは出来ない、やってはいけないということになりかねません。

で、ここからは私の考えです。

話が少しずれるようで申し訳ないのですが、個別株においては、下落している株を買う逆張りと、上昇している株を買う順張り派がいます。

どちらが正しいのかは常に議論になりますが、おそらく永久に決着は付きません。

逆張り派は、価格が変動するものであれば、今下落している株はいずれ後で上昇すると考えます。反対に、今上昇している株はいずれ後で下落すると考えます。

だから、下落している株を買い、上昇している株を売ります。

一方、順張り派は、今下落している株は理由があって下落しているのであり、その理由のためにその後さらに下落すると考えます。反対に、今上昇している株にも理由があって上昇しているのであり、その理由のためにその後さらに上昇すると考えます。

だから、上昇している株を買い、下落している株を売ります。

このように個別株の場合は、逆張りと順張りのどちらが良いかは一概に決められません

しかし、バランスファンドの場合は、私は順張りで良い、つまり、上昇しているほうを買っておけば良いと考えています。

その理由ですが、バランスファンドには自動リバランス機能があります。

リバランスとは、価格が上昇した資産クラスを売却し、価格が下落した資産クラスを購入することです。

これによって、バランスファンドの内部では利益が確定されますので、基準価額が上昇するほどリバランスが行われ、利益が蓄積されていくことになります。

バランスファンドの内部に利益が蓄積されていれば、仮にリートクラスが下落したとしても、他の資産クラスを売却して、安くなったリートクラスを購入できるため、その後にリートクラスが上昇したときの恩恵をさらに多く受けることができるわけです。

最後に、世界経済ファンドの純資産の推移をグラフで見てみます。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

セゾングロバラ同様に、昨年の秋から冬にかけて大きく減少した時期がありますが、その後は盛り返し、多少の増減はあっても、基本的に純資産は増え続けています

こちらも、さすがのブランド力ですね。

その他、個人投資家として気をつけていただきたいことは、前回のセゾングロバラと同じです。時代遅れのファンドになっていないかに気をつけるということですね。

さて、今回はここまでですが、ここで今後の方針的なことを書いてみたいと思います。

今回、代表的なバランスファンドについて比較してきたわけですが、これまでは、これが終わったら株式ファンドかな、それが終わったら、債券、リートかなと漠然と考えていました。

そして、最終的には、主要な投資信託が網羅された、大袈裟に言うとデータベース的なものに近づければいいななどと考えていました。

しかし、昨日、ゆうちょ銀行から投信不適切販売問題についての以下の記者発表があり、報道もされました。

投資信託の不適切な取扱いに関する社内調査結果および今後の対応について

で、考えたのが、高齢者など情報弱者と言われるような方が金融機関に騙されないようにするにはどうすればよいのかということでした。

正直、情報弱者と言われるような方は、投信ブログなど読まないと思いますので、直接有益な情報をお伝えすることは難しいと思います。

しかし、周囲の方がそのようなブログを目にする機会が増えれば、周囲の方を通じて少しは注意喚起ができるのではないかと考えました。

そこで、今後は、基本的にはこれまでと同じやり方をとりながら、ターゲットはYahoo!ファイナンス投資信託ランキングで、アクセス数上位のファンドから選ぶようにしていこうかと考えています。

それが、今注目されている投資信託(には情報弱者が騙される投資信託が含まれている可能性が高い)だと思いますので。

しかし、そうすると、アクセス数の1位はひふみプラスですね。前にさらっとやりましたが、今度は正式にやるということでお許しください。

それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。 

バランスファンドを比較してみる(セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド編)

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

さて、今回は、いよいよ大御所ファンドの1つであるセゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(以下、セゾングロバラ)を取り上げます。

私の持っているセゾングロバラのイメージは、「ちょっと信託報酬は高いけれども、理論的には理想に近いバランスファンド」というものです。

かなり前からある投資信託あるにもかかわらず、今でも人気はトップクラスで、投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018では6位にランクインしています。

おすすめのバランスファンドとしてセゾングロバラを挙げているサイトもよく目にするところです。

私も、セゾングロバラをひたすら積み立て続けて成功したという方のブログを読んで感動したことがあります。

単に理論的に理想に近いファンドというだけでなく、販売会社であるセゾン投信代表の中野晴啓氏は、積立王子と呼ばれているように、インデックス投資オピニオンリーダー、カリスマでもあります。

私は氏のお話を聞いたことはありませんが、記事になったものを読んだりすると、確かにまっとうな、素晴らしいことをおっしゃっています。

商売につなげる意図はあるにしても、何とか投資家を啓蒙しようとする氏の強い気持ちが伝わってきます。

果たして、セゾングロバラの今の姿はどうなのでしょうか。

初めに、ファンドの特色です。

主要投資対象は、国内外の株式及び債券。インデックス型の外国投資証券への投資を通じて、世界30カ国以上の株式および10カ国以上の債券に実質的に分散投資を行う。株式と債券の基本資産配分比率は、原則として50%ずつとする。原則として、為替ヘッジは行わない。ファンドオブファンズ方式で運用。12月決算。(引用元:モーニングスター

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(画像元:交付目論見書)

ローコスト・ハイクオリティ運用で定評のあるバンガードのインデックスファンドに投資することにより低いコストを実現。投資対象ファンドへの資産分配比率は、各地域の株式および債券市場の時価総額を勘案して決定。(引用元:セゾン投信HP)

設定日は2007年3月ですが、10年以上前に、今をときめく?バンガードのインデックスファンドへの投資を通じて、全世界の株式と債券に対して、理論的にもっとも正しいとされる時価総額を勘案した分散投資を行う投資信託を設定したのです。

これは、素直にすごいことだと思います。上にも書きましたが、いわばインデックス投資のお手本のようなファンドだったと思います。

また、投資家からの人気の高さを反映して、純資産は1,800億円以上もあります。これは、インデックス型バランスファンドの中では最大です。

次に、グラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

セゾングロバラは、紺色の線です。下から2番目となっており、残念ながらリターンはマイナスとなっています。

続いて、表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

年間リターンはやはりマイナスで、上から2番めに高い信託報酬がさらにリターンを引き下げています。

年間標準偏差も、11%台と高いほうのグループに入っています(ちなみに、年間標準偏差が11%台のバランスファンドは、すべて年間リターンがマイナスです)。

年間リターンが振るわない大きな理由は、次の資産クラス別ファンドの基準価額変動率推移グラフで簡単に説明できます。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

一番大きく上昇したのが、青色の線の国内リート、次に上昇したのが紫色の線の先進国リートでした。

つまり、リートクラスを含むバランスファンドは、その影響を受けて年間リターンが良く、含まなかったバランスファンドは、その影響を受けられなかったので年間リターンが悪かったわけです。

そして、お察しのとおり、年間リターンが7位のセゾングロバラと8位の世界経済インデックスファンドは、リートクラスを全く含んでおりません

ちなみに、リートクラスの割合は年間リターンの1位と2位が33%、3位と4位が25%、5位と6位が20%でした。

リートクラスについては、セゾングロバラを設定した当時は、まだ市場規模が小さいなど、未成熟だったので、ファンドに取り込まなかったのかもしれません。

また、株式ファンドの下落率は、債券ファンドの上昇率の1.7~3倍もあるのに、株式ファンドと債券ファンドの割合が同じことも、今となっては合理的なのか疑問もあるところです。

最後に、参考にセゾングロバラの純資産の推移を見てみます。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

昨年の秋から冬にかけて80億円以上も減少した時期がありますが、その後は盛り返し、多少の増減はあっても、基本的に純資産は増え続けています。

さすがのブランド力と言えるかもしれません。

しかし、前回も書きましたが、個人投資家は、いくらほったらかし投資とは言っても、自分の購入しているファンドのアセット・アロケーションが時代遅れになっていないかは常に意識しておいたほうが良いと思います。

また、セゾン投信に対しては、販売を自社に限定することで投資家を囲い込み、啓蒙することで販売額や純資産を増やすことよりも、他のネット証券などにも販路を広げ、他の投資信託と同じ土俵で戦いながら、販売額や純資産の増加を目指していただきたいと考えています。

そのうえで、今のままでは競争を勝ち抜くことが難しい場合は、信託報酬の一層の引き下げや、さらに一歩進んで、リートクラスも含む新たなファンドの創設などを検討していただくと、セゾン投信の未来は明るいのではないでしょうか。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

バランスファンドを比較してみる(SMTインデックスバランス・オープン編)

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをご訪問いただき、ありがとうございます。

昨日も熱中症になるくらい暑かったですね。台風による千葉県の停電が1日も早く復旧することをお祈りしております。

さて、今回はバランスファンドの比較の6回目として、SMTインデックスバランス・オープン(以下、SMTオープン)を取り上げます。純資産は28億円、2014年11月の設定ですので、すごく売れているというファンドというわけではないですね。

早速ですが、ファンドの特色です。

主要投資対象は、世界の株式、債券及び不動産投資信託証券(REIT)。基本資産配分比率は、原則として株式40%、債券40%、REIT20%とする。地域別(国内、先進国及び新興国)の基本組入比率は世界経済に占める各地域のGDPシェアの変化に応じて、原則、年1回見直しを行う。原則として、為替ヘッジは行わない。ファミリーファンド方式で運用。4、10月決算。(引用元:モーニングスター

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(画像元:交付目論見書)

株式クラスと債券クラスが40%ずつ、リートクラスが20%というのは、前回比較したSBIオープンの資産配分と同じですが、その中身を見るとかなり様子が違います。

SMTオープンの資産配分の特徴は、とにかく国内資産の割合が小さく、すべての資産クラスを合計しても10%しかないことです。

これは、ファンドの特色の説明にもありましたように、各資産クラスごとの配分を、GDP比率で行っているためですね。日本1国に対して、先進国や新興国は多数の国からなりますので、当然、国内資産の割合は小さくなるわけです。

株式、債券、リートの各資産クラスの合計を地域別に見ると、最も大きい先進国資産が60%、次に新興国資産が30%、そして国内資産が10%となっています。

また、リートクラスには新興国リートが含まれ、8資産均等ファンドよりも多い9つもの資産に配分していることも、SMTオープンの持つ特徴です。

こういう意欲的?な資産配分は面白いですね。

次にグラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

SMTオープンは、6番目(3,4番目は重なっています)の紫色の線です。残念ながら100%のラインには届いておらず、リターンはマイナスとなっています。

続いて表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

最近の株価持ち直しで、信託報酬を差し引く前の年間リターンでは、上記8つのバランスファンドのうち5つまでがプラスに転じましたが、グラフでも見ましたとおり、SMTオープンはまだマイナスです。

また、年間標準偏差もわずかですが一番大きく、バランスファンドとしては決してローリスクなほうではありません。

また、純資産28億円は将来的な早期償還の可能性もゼロではない資産規模ですので、念のため、純資産の推移をグラフで見てみます。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

おっと、心配したとおりでしたね。27億5千万円のラインで持ちこたえてはいますが、反発力は弱まっており、全体としては右肩下がりになっています。このままだと、早期償還の可能性が本当に出てきてしまうかもしれません。

以上、SMTオープンを見てきましたが、資産配分の方針など、非常に意欲的なのに、残念ながらそれが実績につながっておらず、ちゃんと考えたのかと、バックテストはしたのかと、小1時間問い詰めたいと言ったら言いすぎでしょうか。

また、資産配分を時価総額比率ではなく、GDP比率で行っていることについても、合理性がどれだけあるのか、検討し直せるのなら、そうしたほうが良いようにも思います。

もっとも、私は、一般的に正しいとされている時価総額比率による資産配分についても疑問を持っています。GDP比率による資産配分でもそうですが、地域によって資産の配分割合に大きな差が出るため、バランスファンドのメリットである各資産クラスの分散効果や相関効果がうまく発揮されないと考えるからです。

例えば、SMTオープンの場合、ファンドの60%を占める先進国資産が暴落したとき、新興国資産や国内資産ではカバー出来ません。また、仮に国内資産が高騰したとしても、ファンド全体の上昇に資するのは10%に過ぎず、それほど意味はないわけです。

その点、直感的ですが、各資産クラスを均等に配分するファンドのほうが、分散効果や相関効果は発揮されやすいように思います。

いずれにしても、自分の購入しているファンドのアセット・アロケーションが時代遅れになっていないか、市場の動きにちゃんと対応できているかを常に意識しておくことは、たとえほったらかし投資とはいえども重要なことだと考えます。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

バランスファンドを比較してみる(SBI資産設計オープン(資産成長型)編)

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをご利用いただき、ありがとうございます。

今回の台風は、皆さま大丈夫でしたか?

私は直接の被害はありませんでしたが、通勤では電車がなかなか動かず、ようやく動いても激混みで、職場に着く頃にはヘトヘトになってしまいました。

さて、今回は、バランスファンドの比較の5回目として、SBI資産設計オープン(資産成長型)(以下、SBIオープン)を取り上げます。

勉強不足でしたが、SBIオープンは、2008年1月という結構以前に設定されたファンドで、300億円以上の純資産があるんですね。しかも、販売会社はSBI証券1社きり。愛称はスゴ6で、「古くからの固定客をがっちりつかんだ老舗」といった感があります。

それでは早速、ファンドの特色です。

主に、国内株式20%、外国株式20%、国内債券20%、外国債券20%、国内REIT10%、外国REIT10%の割合で投資を行う。6資産にバランスよく分散投資し、中長期的に安定した収益獲得を目指す。信託報酬1%未満、申込み時の手数料ゼロと魅力的な低コストファンド。原則として、為替ヘッジは行わない。ファミリーファンド方式で運用。11月決算。(引用元:モーニングスター

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(画像元:交付目論見書)

前回と前々回に比較した8資産均等ファンドは、株式クラスと債券クラスとリートクラスの割合が37.5%:37.5%:25%でした。それと比べるとSBIオープンはリートの割合が20%と更に小さく、その分、株式クラスと債券クラスの割合が40%ずつと大きくなっています。

次にグラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

上から5番目(3番めと4番目は重なっています)の、ちょうど100%となっている赤い線がSBIオープンです。

続いて表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

年間リターンはちょうど0%でしたが、信託報酬が現在の基準ではかなり高い0.73%もあるため、その分を差し引くとリターンはマイナスになってしまいます。

野村7資産や野村6資産、8資産均等バランスと比べてリターンが低い理由は、やはり、現在大きく上昇しているリートクラスの割合が相対的に小さく、一方でリターンがマイナスの株式クラスの割合が相対的に大きいためであると考えます。

一方、年間標準偏差は低い方から3番目で、比較的ローリスクなファンドであると言えます。

年間リターンは低く、信託報酬は高く、このファンドを購入する方がそれほど多いとは正直思えませんでしたので、純資産の推移をグラフにしてみました。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

昨年の秋から年末にかけて株価が大きく下落した際には20億円も減少しており、決して安定した推移ではありませんが、その後は持ち直して右肩上がりとなっており、かなり売れていることがわかります。

その理由ですが、ここからは推測になりますが、やはり長年の信用力とブランド力、特にネーミングのうまさがあるんでしょうね。スゴ6と聞くと、いかにもバランスが良くて、頼もしいイメージがあります。販売会社はネット証券の雄であるSBI証券ですしね。

どこで読んだか忘れてしまいましたが、ネットでスゴ6を絶賛している人の文章を読んだこともあります。そのときは、野村7資産のほうがすごいぞと思っただけでしたが。

さらに、株式クラスと債券クラスが同じ割合になっているように、バランスファンドの基本はしっかり押さえられており、リスクも低くなっています

これは、買う方はいらっしゃいますね。私のように、資産クラスの割合にこだわったり、グラフで比較したり、シャープレシオを計算するようなマニアは、ほとんどいないでしょうし。

でも、私はこのようなファンドこそ、ネーミングやイメージで購入するのではなく、シャープレシオ標準偏差といった客観的なデータで比較して、購入するか否かを判断していただきたいと考えて、このブログを書いているわけなんですけれどね。

今回はここまでです。

それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

バランスファンドを比較してみる(eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)編)

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

当ブログが、少しでも皆さまの投資信託の購入・解約時のお役に立っておりましたら、大変うれしいです。

さて、今回はバランスファンドの4回目、定番中の定番、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)(以下、slim8資産)を比較してみます。

と言っても、ファンドの中身は、前回のiFree8資産バランスと基本的には同じです。iFree8資産バランスにつきましては、こちらをお読みください。

それでは早速、ファンドの特色です。

主として対象インデックスに採用されている日本を含む世界各国の株式、公社債および不動産投資信託証券に投資する。国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内不動産投資信託証券および先進国不動産投資信託証券への実質的な基本投資割合は、純資産総額に対してそれぞれ12.5%とする。各投資対象資産の指数を均等比率で組み合わせた合成ベンチマークに連動する成果をめざす。原則、為替ヘッジは行わない。ファミリーファンド方式で運用。4月決算。(引用元:モーニングスター

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(画像元:交付目論見書)

続いて、グラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

slim8資産は4番目の焦げ茶色の線ですが、3番目のiFree8資産の水色の線とほとんど重なっています。

最後に表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

slim8資産は、表ではiFree8資産と同じシャープレシオですが、実際には僅差で4位であり、わずかですが、iFree8資産よりもハイリスク・ハイリターンとなっています。

slim8資産についてのホンネ

確かにslim8資産は8資産均等型のバランスファンドの中では最もよく売れています。おすすめのバランスファンドとして紹介されることも多いです。私も、マネックス証券iDeCoで購入中ですから、slim8資産のことを決して悪い投資信託とは思っておりません。

しかし、実は、私はslim8資産にモヤモヤとした思いを抱いていました。それが何であるか、最初は自分でもよくわからなかったのですが、よく考えた結果、以下のことに思い至りました。

バランスファンドが嫌いな方や、バランスファンドに対して批判的な方がいらっしゃいます。

そのような方は、バランスファンドのデメリットとして、まず、あまり儲からないことを挙げることが多いのですが、残念ながらslim8資産には、そう言われても仕方がない面があると思います。実際、上記の8つのバランスファンドの中ではリターンは3位で、それも1位、2位とはかなりの差があります。

また、資産配分として8資産均等が間違いとまでは申しませんが、それはどれだけ研究・検討して決めた資産配分なのか疑問です。ちゃんとバックテストをして、ベストのパフォーマンスであることを確認した上で行った資産配分なのでしょうか?

それとも、どの資産クラスが将来上昇するかは誰にもわからないのだからと、それだったら全部均等に買っておけば良いと単純に考えただけなのでしょうか。どうもこちらのほうが可能性は高そうです。

仮にそうであっても、それがすぐにいけないわけではありませんが、私が残念なのは、投資家がせっかくバランスファンドという安楽な道の入口までたどり着いても、バランスファンドの一番のおすすめとされるslim8資産のパフォーマンスを見て嫌気が差し、個別ファンド+手動リバランスという苦難の道を選んでしまうことです。

やっぱり儲からないので、米国株式ファンドにしました→いやいや、もっと良いバランスファンドは他にあるんだよ!気付いてよ!と思うわけです。

また、これに関連して、投資信託の専門家の方や投信ブロガーの方に私がお願いしたいのは、slim8資産をバランスファンドの一番のおすすめとしてサイトやブログで紹介する前に、slim8資産やその他のバランスファンドの実際のパフォーマンスがどうであるかを確認してほしいということです。

どうも信託報酬が一番低い=一番優良なバランスファンドであるとお考えの方が多いようなのですが、私の知る限り、投資信託のパフォーマンスを決める一番大きな要因は、資産配分(アセット・アロケーション)です

アセット・アロケーションを機動的に見直すアクティブ型のバランスファンドならいざしらず、インデックス型のバランスファンドは、最初に決めたアセット・アロケーションでパフォーマンスがほぼ決まってしまいます。つまり、勝負は最初からついているわけです。信託報酬の話はそれからです。

slim8資産の8資産均等が本当にベストのアセット・アロケーションであるならば、自ずとパフォーマンスに現れると思いますが、実際のパフォーマンスを見ると、どうやらそれは違ったようです。

終わりにホンネを書かせていただきました。今回はここまでです。

ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。