【まだ人気?】ひふみプラスを比較してみる(※加筆修正あり、おまけ付き)
こんにちは。HIROBUNです。
いつも当ブログを読んでくださり、ありがとうございます。
さて、前回も最後に書きましたとおり、今回から、Yahoo!ファイナンスの投資信託ランキングで、その日1日あたりのアクセス数が上位のファンドをインデックスファンド等と比較することを始めたいと思います。
これにより、今話題のファンドの実態を皆さまにお届けできれば幸いです。
ということで、記念すべき?第1回は、ひふみプラスです!
・・・って、正直に書きますと、実はあまりやりたくありません(では、やらなければいいじゃんというツッコミはご容赦を(笑))。
というのも、今までも軽く取り上げていますし、Yahoo!ファイナンスのひふみプラスの掲示板を見ると、投資家の皆さんの不満が爆発していますので、何をいまさらと…。
でも、ランキング1位は、良くも悪くも一番盛り上がっているということですので、ここはルールどおりにまいりましょう。
まず、ファンドの特色です。
主要投資対象は、国内外の上場株式。長期的な経済循環や経済構造の変化、経済の発展段階等を総合的に勘案して選ばれた国内外の株式市場のなかで、長期的な産業のトレンドを勘案しつつ、定性・定量の両方面から徹底的な調査・分析を行い、その時点での市場価値が割安と考えられる銘柄に長期的に選別投資し、信託財産の長期的な成長を図る。ファミリーファンド方式で運用。9月決算。(引用元:モーニングスター)
資産配分は次のとおりです。
最初は超小型株が非常に大きな割合を占めていましたが、徐々にその割合を減らし、現在は、中小型株、大型株が大部分を占めています。
そして、2017年から買い始めた海外株、超小型株、現金等の順になっています。
この資産配分を見て最初に怖いと思ったのが、現金等の比率の小ささです。ほとんどありません。
投資経験のある方は百もご承知でしょうが、銘柄選択に失敗して含み損が出てしまった場合、手元に現金がないと身動きが取れず、損切りするしかなくなってしまいます。
故林輝太郎氏も、投資家には片玉二分の一(資金に対して50%までの売買に抑えること)を強く勧めています。
それでも、個人投資家は自分さえ納得していれば、含み損となっても損切りをせず、塩漬けで放置していても良いわけです。
しかし、ひふみプラスを運用するレオス・キャピタルワークス株式会社のような資産運用会社は、常に顧客から市場平均よりも高い運用成果を求められますので、含み損が生じたまま放置することは許されません。何とか基準価額を上昇させなければならないわけです。
と、ここまで書いて、恥ずかしながら、純資産総額と基準価額の関係についてよく理解していないことに気づきましたので、調べてみました。
基準価額は、投資信託の一口あたりの値段のことで、投資家が投資信託を購入・換金する際は、基準価額で取引が行われます。(1口1円で運用が開始された投資信託は、1万口あたりの基準価額を公表しています)
投資信託の資産のうち、投資家に帰属する額を「純資産総額」といいます。この純資産総額を投資信託の総口数で割ると、一口あたりの価額、すなわち「基準価額」が算出されます。
純資産総額とは、投資信託に組入れられている株式や公社債等をすべて時価評価し、CD・CPやコールローン等、債券の利息や株式の配当金などの収入を加えた資産総額からファンドの運用に必要な費用などのコストを差し引いたもの。
(以上は、一般社団法人投資信託協会 投資信託の基礎知識から引用)
つまり、純資産総額は時価評価ですので、資産運用会社の投資先企業の株価が下落すれば、当然、純資産総額も減少し、その結果、基準価額が下落するわけですね。
この場合、手元に現金がふんだんにあれば、他に有望な企業の株式に投資し、その株価の上昇で含み損を相殺し、基準価額の下落を抑えることができる可能性があります。また、そうやって含み損を相殺している間に、株価の回復を待つこともできます。
しかし、 手元に現金がない場合は、そのままでは新たな株を買うことはできませんので、基準価額の下落という事態を打開するためには、(融資を受けることを考慮しなければ)投資先企業の株式を売却して現金を作るしかありません。
この場合、株価が上昇している企業の株式を売れば、株価がさらに上昇する可能性を捨てることになります。
また、株価が下落している企業の株式を売れば、株価がさらに下落する可能性はなくなりますが、損失=純資産総額の減少=基準価額の下落が確定してしまいます。
どちらにしても、現金がないと資産の運用が一層困難になることは間違いありません。
次にグラフです。
ひふみプラスは紫色の線です。青色の国内株式(TOPIX)に7月にわずかに勝った以外は、すべての月で負けています。
9月に入ってからの株価の上昇も、インデックス型の国内株式(TOPIX)に大きく劣っており、インデックス型よりも高い信託報酬を払っている投資家が不満を持つのは当然のことと言えます。
続いて、表です。
株式クラスのインデックスファンドの年間リターンは、少し前までの不安定な株式市場を反映して、国内、先進国、新興国のすべてがマイナスでした。
ひふみプラスは、これらのインデックスファンドと比較すると、年間リターンは一番低く、年間標準偏差は新興国に次いで高く(=相対的にハイリスク・ローリターン)、信託報酬は一番高くなっています。
最後に、純資産の推移です。
上のグラフや表で見ていただいたような運用状況を反映して、ひふみプラスの純資産も激しく変動しています。
2018年9月から12月にかけては、6,600億円から5,300億円まで、一気に1,300億円も減少しました。
その後、いったんは6千億円程度にまで回復したものの、その後は弱い反発を挟みつつ、全体としては減少傾向にあります。
終わりに
ここまでひふみプラスについてまとめてきましたが、「ためて、ふやして、進化する。」というキャッチフレーズどおりの資産運営ができているのかについては、1年間の実績を見た限りでは、正直疑問を抱かざるを得ませんでした。
前回も書きましたが、株式投資には逆張りという方法がありますので、ひふみプラスについても、基準価額が伸び悩んでいる今こそ、積極的に買っていくべきだという考えもあるとは思います。
しかし、上に書きましたとおり、資産運営会社に現金が少ないうえに、この状況は、基準価額が改善せず、投資家の解約が増えた場合に、さらに悪化する可能性があります。
したがって、基準価額がすぐに改善することは難しいことが推測されるため、ひふみプラスへの投資の開始・継続については慎重な検討が必要かもしれません。
おまけ
上で、基準価額を出す式をお示ししましたが、この式を総口数を求める式に変形すると、次のとおりとなります。
総口数 = 純資産総額 ÷ 基準価額(一口あたりの価額)
以上を、ひふみプラスについてグラフ化してみますと次のようになります。
最盛期は2019年2月の1,620億口でしたが、最新の9月では1,575億口となっており、ひふみプラスの総口数が減少し始めています。どうやら、少しずつファンが離れ始めているように見受けられます。
今回はここまでです。それではまた。
※投資は自己責任でお願いします。