HIROBUNが投資信託を比較するブログ

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【売りまくる】次世代通信関連 世界株式戦略ファンドを比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

さて、今回は注目ファンドとして、アクティブ型ファンドである次世代通信関連 世界株式戦略ファンド(以下、次世代通信ファンド)を取り上げます。

あれ?ついこの間やったんじゃ?と思った方、正しいです。こちらです。

最初は続きとしてやろうと思ったのですが、次世代通信ファンドは屈指の注目ファンドであるにもかかわらず、今から考えると前回は比較・分析がいまいちだったな…という気持ちがありました。

そこで、前回に比べれば、今は株式市場もだいぶ回復し、数字的なものも変わっているため、思い切って最初から比較をやり直そうと思ったわけです。

最後までお付き合いいただけると幸いです。

1 ファンドの特色

主要投資対象ファンドへの投資を通じて、主として日本を含む世界各国の金融商品取引所等に上場(上場予定を含む)している次世代通信関連企業の株式(預託証書(DR)を含む)に投資する。「次世代通信関連企業」とは、通信技術の発展によって業績面で恩恵を受けることが期待される企業をいう。主要投資対象ファンドにおける投資銘柄は、次世代通信関連企業の中から、ファンダメンタルズ分析を通じて、成長性や株価の割安度を検証したうえで選定する。原則として、為替ヘッジは行わない。ファンドオブファンズ方式で運用。1月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は次のとおりです。

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(以上、月次レポートから引用)

要するに、次世代通信ファンドはNext Generation Connectivity Fund JPY Unhedged Classというファンドを買うだけのファンドで、95%近くが株式です。それも大型株式が半分以上で、そのうち米国株式が65%以上を占めています。

正直、いまいち、資産配分の中身がはっきりしません。そして、はっきりしないものは購入すべきではないなとこの段階で感じます。

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

次世代通信ファンドは紫色の線です。最初の4か月はパッとしませんでしたが、その後の8か月間は先進国株式、新興国株式、国内株式のいずれのインデックスファンドもアウトパフォームしています。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

次世代通信ファンドは、純資産が4,000億円近くあり、圧倒的な規模を誇ります。また、この中では唯一、年間リターンがプラスであり、先進国株式ファンドの17倍もある信託報酬を差し引いても、その事実は変わりません。

ただし、年間標準偏差は25%超と最も高く、この4ファンドの中では最もハイリスクなファンドと言うことができます。 

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

凄まじい勢いで純資産が増えています。19か月前は227億円だったのが、 現在は3,978億円にもなっています。

5 総口数の推移 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

こちらも純資産と同様に凄まじい勢いで増加しており、わずか19か月前は226億口だったのが、現在は3,649億口にもなっています。

6 終わりに

上で見てきましたように、次世代通信ファンドは凄まじい勢いで売れています。しかし、同ファンドは非常にリスク(=年間標準偏差)が高く、また、信託報酬も決して低いものではありません。

また、比較した中では高かった年間リターンも、実は次のとおり、次世代通信ファンドより低リスクかつ低信託報酬で、年間リターンは高いファンドがありますので、あまり評価はできません。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

例えば、野村7資産は、リスクも信託報酬も次世代通信ファンドの3分の1以下、年間リターンは1.8倍です。それなのに、野村7資産の純資産は、次世代通信ファンドのわずか2.7%の規模しかありません。

なぜこのようなことになるかというと、ご承知のとおり、マイナス金利下で経営が厳しい金融機関が、利ざや稼ぎに代わる主要な収益源として、次世代通信ファンドのような信託報酬が高い投資信託を売りまくっているからですね。

反対に、信託報酬の低い投資信託は儲けが少ないので売りたがらず、したがって、上記のような優れた投資信託の情報は自分で探しに行かないと見つかりません(さらに、金融機関の窓口でこれを買いたいと言っても、別のもっと信託報酬の高い投資信託を勧められたりします)。

今回はたまたま、ゆうちょ銀行の投資信託不適切販売が新聞沙汰になりましたが、これは氷山の一角もいいところで、実際には日本中のあらゆる金融機関が似たような販売を行っていると言われています。

ですから、私たち投資家は、「THE 5G」などという愛称に惑わされずに、そのファンドの実態をしっかり見極めなければならないのですが、そのために必要な情報は十分に提供されておらず、リテラシー(与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力)の育成も不十分です。

日本の投資信託の夜明けは、遠そうです┐(´д`)┌ヤレヤレ。

今回はここまでです。それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。