HIROBUNが投資信託を比較するブログ

グラフと表による「見える化」を通じて、投資信託を比較します。そして、優れたバランスファンドにより、すべての方にストレスなしの真のほったらかし投資を!

バランスファンドを比較してみる(iFree8資産バランス編)

こんにちは。HIROBUNです。

当ブログにお越しいただき、ありがとうございます。

台風15号が記録的勢力で上陸するかもしれないとのこと。心配ですね。

投資も命あっての物種ですからね。

外出等、皆さまも十分お気を付けください。

さて、今回はバランスファンドの比較の3回目です。

取り上げるのは、iFree8資産バランス(以下、iFree8資産)です。

あれ?eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)(以下、slim8資産)のほうじゃないの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

確かに8資産バランスと言えば、定番はslim8資産。私もiDeCoで購入しています。

でも、実はiFree8資産のほうが、極めてわずかですがパフォーマンスが良いのです。

では、早速始めましょう。

まず、ファンドの特色です。

主として、内外の株式、債券、およびリート(不動産投資信託)など8つの資産クラスに投資する。資産クラスは国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート、海外リート。各資産クラスの投資にあたっては、投資成果を特定の指数の動きに連動させることを目指して運用を行う。為替ヘッジは、原則として行わない。ファミリーファンド方式で運用。9月決算。(引用元:モーニングスター

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(画像元:大和投資信託の交付目論見書)

資産配分は、上記の8つの資産クラスが同じ割合(各12.5%)となっていますが、もっと大きく分類すると、株式クラス37.5%、債券クラス37.5%、リートクラス25%の割合となります。slim8資産との違いは、新興国株式の指数が若干違うこと、また、野村7資産との違いは、リートの割合が小さいことと、外国資産クラスに為替ヘッジがないことですね。

次にグラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

iFree8資産は上から3番めの水色の線ですが、eMAXIS Slimの焦げ茶色の線と重なって少し見えにくくなっています。

なお、9月に入って、株式市場が少し上向いており、すべてのバランスファンドの基準価額が上昇しています。

続いて、表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

iFree8資産は、この中ではシャープレシオではslim8資産と同じ数字ですが、実際には僅差で3位となっています。さらにslim8資産と比較すると、年間リターンではわずかに劣るものの、年間標準偏差ではわずかに下回っています(比較するとわずかにローリスク・ローリターン)。

iFree8資産の功績は、それまで8資産と言えば、eMAXIS バランス(8資産均等型)(信託報酬0.54%)だったのを、slim8資産に先行して半分以下の信託報酬に引き下げたことです。

しかし、その後、後出しジャンケンでslim8資産がさらに低い信託報酬で販売されたため、現在は純資産の額でslim8資産にダブルスコアを付けられてしまいました。

ほぼ同じパフォーマンスならば、信託報酬が低いほうを選択するのが合理的です。

今後、iFree8資産はどうなっていってしまうのでしょうか。

参考に、両ファンドの純資産の推移をグラフで比較してみます。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

予想どおり、純資産の伸びはslim8資産が圧倒的です。

しかし、iFree8資産も順調に純資産を増やしており、現在の額も156億円と、安全とされる100億円を大きく超えています。

また、slim8資産との信託報酬の差も実際にはそれほど大きくありませんので、今後、slim8資産に純資産額でさらに差をつけられたとしても、iFree8資産が早期に償還されるといった事態は起こり得ないと考えます。

また、今後、iFree8資産がslim8資産に販売面で上回るためには、信託報酬を一層引き下げ、信託報酬最下位の座を勝ち取るしかありません。

しかし、iFree8資産の純資産はまだ伸びていますし、仮にiFree8資産が信託報酬を引き下げたとしても、slim8資産がすぐに対抗して引き下げることは確実ですので、当面は信託報酬の引き下げは期待薄でしょう。

最後に、基準価額の変動率で、野村7資産及び同6資産と差が付いた理由を推測します。次のグラフは、8つの資産クラス別ファンドの最新の基準価額変動率の推移です。 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

年間リターンでプラス(100%超)となっているのは、債券クラスとリートクラスですが、特にリートクラス、それも国内リートクラスが25%近くと大きく上昇しています。

iFree8資産は、リートクラスの資産配分が4分の1(25%)ですので、リートクラスの資産配分が3分の1(33.3%)の野村7資産及び野村6資産よりも、リートの上昇を取り込めなかったものと思われます。

また、リターンがマイナスだった株式クラスが37.5%を占めていることも、株式クラスが33.3%の野村7資産及び同6資産よりもパフォーマンスが劣った原因になったものと考えます。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

投資信託を見える化する(ガイド編)

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

さて、お気付きかもしれませんが、私は当ブログの名称をちょくちょく変えています。

それは、「試行錯誤の現れ」なのですが、このたび、ようやくしっくりくる名称が決まりました(と思います)。

それは「HIROBUNが投資信託見える化するブログ」、肝は「見える化」です。

前の「比較してみる」も結構気に入っていたので、当初はそのまま行くつもりでしたが、そのうちにどうも「比較してみる」だけでは弱いかなと思うようになりました。

要するに「投資信託 比較」でヒットするサイトなどいくらでもあるわけです。それも上位は大手企業のサイトです。これではどう頑張ってもブログが埋もれてしまいます。

そこで考えたのですが、私が今やっているのは、個々の投資信託の無味乾燥な基準価額の変化を、グラフや表の数字に変換して、横並びで皆さまにお見せすること、つまり見える化です。

そこで、試しに「投資信託 見える化」で検索してみると、ヒットしました。

投資信託の成績、どう「見える化」する? (スグ効くニュース解説)

投資信託の質の「見える化」は可能か

しかし、これらのサイトや、これ以外にヒットしたサイトは、ほとんどが個々の投資信託に関するものではなく、金融機関のKPI(顧客本位の業務運営を客観的に評価できるようにするための成果指標)に関するものばかりでした。

ちなみに、金融庁が定めた投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIとは、次の3つです。

・ 運用損益別顧客比率
・ 投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン
・ 投資信託預り残高上位20銘柄のリスク・リターン

で、思ったわけです。個々の投資信託の横並びでの「見える化」って、全然出来てないじゃん。やっぱりこれだ!と。

私のグラフと表を用いる方法なら、少なくとも投資対象とするかどうかの参考にしていただける程度には、個々の投資信託の横並びでの「見える化」が出来ていると思っています。

また、ブログを始める前の私としても、この程度の「見える化」が今までなかったのは、本当に残念な話で、ヤ◯◯を見ても、モ◯◯を見ても情報量は多いのですが、肝心なことがちっとも分かりませんでした。やはり、横並びで見える化」して投資信託の優劣がはっきりしてしまうとマズいのでしょうか?

さて、ブログの名称についてはこのくらいにして、今回は、今更で大変申し訳ないのですが、私が普段、記事にしているグラフと表の見方について、ガイド的な説明を書いてみようと思います。

読んでいただくとお分かりになると思いますが、正直、ちょっと難しいと言うか、面倒くさいところがあります。これまで書いてこなかったのには、そういう理由もあります。また、今回の説明を読んでいただかなくても、グラフや表の結果だけを見ていただければ十分だとも思っています。

しかし、今回の説明を読んでからグラフや表を見ていただけると、より理解が深まりますし、何より投資信託の見方がレベルアップし、今後は、新しい商品が出てもご自身で批判的に見ることができるようになると思いますので、最後までお付き合いいただけると幸いです。

まず、素材として前回の記事のグラフ です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

このグラフは、Yahoo!ファイナンスから、投資信託の基準価額の月間データ1年間分を取得しグラフ化しています。

しかし、基準価額のままだと投資信託によって価格が異なるため、うまく比較できません。

そこで、すべての投資信託の最初の月の基準価額を100%で揃えて、その後の変動率で比較するようにしています。

こうすることによって、例えば、基準価額3,000円の投資信託と基準価額30,000円の投資信託も比較することができるようになります。

ただし、このグラフにも弱点があります。以前にも書きましたが、1年間の基準価額しか比較していないため、たまたまその年だけ調子が良かったり悪かったりした投資信託があっても、このグラフだけでは判断できないことです。

このため、このグラフで興味を持った投資信託については、必ずYahoo!ファイナンスモーニングスターといったサイトで、もっと長期間のチャート等を確認するようお願いします。

そうすると、私のグラフでは絶好調に見えた投資信託が、長期的には非常に値動きが激しくリスクが高い投資信託であることが分かったりします。十分にお気を付けください。

続いて、素材として前回の表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

この表も、元のデータはグラフと同じく、Yahoo!ファイナンスから、投資信託の基準価額の月間データ1年間分を取得したものです。

グラフだけでも全体的な傾向はわかりますが、投資信託で重要な信託報酬の高さなどはグラフからは分かりません。

また、各投資信託のリターンはグラフからでも概ね分かりますが、基準価額の動きの良し悪し(=リスクの大きさ)などは、グラフから正確に判断することは困難です

そこで、まず一番左側の列をご覧ください。上から順に説明します。

シャープレシオとは投資信託を選ぶときの指標の一つです。投資のリスク(価格変動)の大きさに比べてどれだけリターン(収益率)を得られるか、運用効率の高さを示します。数値が大きいほど運用効率が良いとされ、一般に1を超える投信は優秀と言われています。数値の大きさから、投信のポートフォリオ(資産構成割合)が取るリスクに見合うリターンを上げているかをチェックして、相対的に評価します。計算方法は投資のリターンから国債利回りなどリスクのない資産のリターンを引いたうえで、リスクで割ります(引用元:NIKKEI STYLE)。私は、このリスクに、下に書いた年間標準偏差を使用しています。

リターンだけでは分からない、投資信託のパフォーマンスを測る指標としては、かなり有効だと思いますが、注意点もあります。

まず、リスクが高く通常なら投資しないような投資信託であっても、その年のリターンがたまたま高かったような場合は、シャープレシオもそれなりに高くなるため、数字を鵜呑みにしないよう気をつける必要があります。

また、シャープレシオリターンがマイナスの場合は、リスクが大きいほどシャープレシオの数字も大きくなるため、注意が必要です。この場合、私はシャープレシオ投資信託の比較には使用しません。

さらに、上の引用した文章とは異なりますが、個人的には、シャープレシオは1を超えることにこだわる必要は全くないと考えています。1という数字にこだわると、本当に優良な投資信託を見落とすことにつながりかねませんので、ご注意ください。

12か月リターンは、年間リターンのことです。1年前から基準価額がどれだけ上昇(下落)したかの率ですが、この数字も、配当を再投資した場合はもっと高くなることにご注意ください。最終的にリターンがどの程度になるのかは、解約するまで分かりませんが、少なくとも基準価額の変動率はリターンの目安になると考えています。

また、同信託報酬抜きですが、信託報酬とは、ご存知のとおり、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のことです。ただし、別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して何%」といった形で毎日差し引かれます。(引用元:SMBC日興証券

信託報酬が高い投資信託は、当然その分リターンも低くなるので、そのことがはっきり分かるよう、12か月リターンから信託報酬を引いたものも一緒に示しています。

年間標準偏差ですが、私が最も重視している指標です。標準偏差の説明は次のとおりです。

標準偏差とは、データの散らばりの度合いを表す値です。データの散らばりが大きいと標準偏差も大きくなり、散らばりが小さいと標準偏差は 0 に近づきます。(引用元:Sci-pursuit.com)

当ブログでは、投資信託の1年間の基準価額を用いて標準偏差を算出し、これを年間標準偏差と呼んでいます。シャープレシオの説明のところでも書きましたが、投資のリスクと同じ意味で使用しています。つまり、年間標準偏差が小さいほど、その投資信託のリスクは小さいことになります。私は、投資信託のリスクが小さいことは、リターン以上に重要なことだと考えています。

なお、標準偏差は、エクセルのSTDEVP関数を使用すれば、比較的簡単に求めることが出来ます。

今回の説明は以上です。

ここまでお読みいただいた皆さま、お疲れさまでした。私も、自分では理解していたつもりでしたが、まとめるとなると意外と大変でした(笑)。

それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。 

バランスファンドを比較してみる(野村6資産均等バランス編)

こんにちは。HIROBUNです。

当ブログを訪問いただき、ありがとうございます。

今回は、9月2日の基準価額が出たことにより、8月分のリターンが計算できましたので、バランスファンドの比較の2回目として、野村6資産均等バランス(以下、野村6資産)を比較してみます。

ちなみに、1回目は(パフォーマンス1位でしたので…)野村インデックスF・内外7資産バランス・H型(野村7資産)でした。後段で、信託報酬と為替ヘッジに関する私の考えも書かせていただいておりますので、よろしければどうぞお読みください。

まず、ファンドの特色です。

国内及び外国の各債券、国内及び外国の各株式、国内及び外国の各不動産投資信託証券(REIT)を実質的な主要投資対象とする。6本のマザーファンドへの投資比率は、各6分の1を基本とし、原則として毎月、リバランスを行い、合成指数に連動する投資成果を目指す。主として「つみたて投資」(定期的に継続して投資すること)によって取得される資金の運用を行う。原則、為替ヘッジを行わない。ファミリーファンド方式で運用。7月決算。(引用元:モーニングスター

つみたてNISA専用ファンドです。つみたてNISA口座を開設済のお客様のみがご契約(投信積立によるお買付)いただけます。(引用元:野村アセットマネジメント

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(画像元:野村アセットマネジメント

アセット・アロケーション( 資産配分)は株式と債券とリート(不動産)の割合が、ちょうど3分の1ずつとなっています。これは、基本的に野村7資産と同じですね。違うのは、債券に新興国債券が含まれていないことと、為替ヘッジがないことです。

次に、グラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

黄緑色の線が野村6資産です。7月の落ち込みは野村7資産に次いで小さく、アセット・アロケーションが他のバランスファンドよりも適切であることが推測できます。野村7資産のほうが落ち込みが小さかったのは、野村7資産の為替ヘッジの効果(円高でも外国資産が下落しなかった)と考えられます。

最後に表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

上記8つのバランスファンドの中では、年間リターン、年間標準偏差ともに、野村7資産に次ぐ2位、当然、シャープレシオも2位となっています。信託報酬は野村7資産の半分以下と安く、全体的にこれといった欠点の見当たらない優良なバランスファンドと言えます。

しかし、野村7資産と比べるとパフォーマンスの点で私には物足りなく、投資対象とはなりませんでした。純資産が66億円あるのはさすがですが、今後の純資産の伸びについては、つみたてNISA専用ファンドであることがデメリットとなるかもしれません

通常の比較は以上ですが、これだけだと少し寂しいので、ライバルであるニッセイ・インデックスバランスF(6資産均等)(以下、ニッセイ6資産)と比較してみます。

まず、グラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

野村6資産のすぐ下の青い線がニッセイ6資産です。野村6資産のほうが上ですが、ほとんど差がないように見えますね。

次に表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

やはり、野村6資産のほうがニッセイ6資産よりも、若干ですがパフォーマンスが上でした。これは、ニッセイ6資産の純資産の規模がまだ小さい(約4億円)ことが影響しているのかもしれません。また、販売会社の数も、野村6資産は15社ですが、ニッセイ6資産は8社しかありません(それにしても、信託報酬の安いファンドは、全般的に販売会社の数が少ないですね。販売会社が少ないから売れないのか、売れないから販売会社が少ないのか、売る気がない(儲からない)から販売会社が少ないのか、どれなんでしょうか?)。

余談ですが、基準価額データを取得するサイトを変更したため、最新データとしてはその月の最初のデータしか取得できないと思っていましたが、勘違いだったようです。上記のグラフと表では、その月の最新データが取得できています。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

バランスファンドを比較してみる(野村インデックスF・内外7資産バランス・H型編)※追記しました

こんにちは。HIROBUNです。

いつもお読みいただき感謝!です。

さて、今回は、9月2日の基準価額が出たことにより、8月分のリターンが計算できましたので、久しぶりにバランスファンドの比較をしてみようと思います。

それも、野村インデックスF・内外7資産バランス・H型(長いので「野村7資産」と略します。)以外の銘柄については、今までは比較対象のファンドとして記載してきただけで、ほとんど説明らしい説明をしてこなかったため、このタイミングで改めて個々の銘柄についても順次説明をしていきたいと思います。

そのほうが、後で見返した場合に個々の銘柄が探しやすいと思いますし、今後は、毎月初めに前月のリターンが出たタイミングで、各銘柄の更新記事を書いていきたいとも思います。

ということで、バランスファンドの(記念すべき?)1回目は私が投資継続中の野村7資産です。私のワガママで申し訳ありませんが、ぜひ最後までお読みください

まず、ファンドの特色です。

内外の株式およびREIT、内外および新興国の債券を主要投資対象とし、各株式および各REITに1/6ずつ、各債券に1/9ずつの基本投資割合で投資。原則として毎月、リバランスを行い、各資産の対象指数の月次リターンに、各資産への基本投資割合を掛け合わせた合成指数に連動する投資成果を目指す。原則として為替ヘッジを行う。ファミリーファンド方式で運用。9月決算。(引用元:モーニングスター

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(画像元:野村アセットマネジメント

上の画像のとおり、株式と債券とリート(不動産)の割合が、ちょうど3分の1ずつとなっています。にも書きましたが、資産三分法※の考え方と同じですね。

※資産三分法

資産(財産)を異なる性質を持つ3つの資産に分けて投資(保有)するというポートフォリオ理論です。一般には、「現金」「土地」「株」を指す場合が多いようです。一つの性質を持つ資産に投資をしていると、何らかの不確実性(リスク)により大きな損失を出す可能性があるため、投資先を分散することでリスクが分散されるという考え方です。(引用元:カブドットコム証券)

次に、グラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

野村7資産はオレンジ色の線です。ひと目でお分かりのとおり、他のバランスファンドを大きく上回るパフォーマンスが続いています。12か月中、他のバランスファンドを下回ったのは2018年11月のわずか1か月でした。

最後に表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

野村7資産は、年間標準偏差が一番小さく、年間リターンも、2つしかないプラスリターンのファンドのひとつで、かつ、最も高くなっています。その結果、シャープレシオも、(当然ですが)最も高くなっています。 

純資産も102億円と、一般的に十分安全とされるレベルです。

このように優良なバランスファンドですが、なぜか「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018」ではランクインしていません。

それは、野村7資産にインデックス投資家から不評を買う原因があるからですが、そのひとつが、信託報酬が最安ではない(0.54%)ことです。また、為替ヘッジを行うこともコスト増につながるとして、評判がよくありません。

しかし、野村7資産に投資継続中の身として、私はインデックス投資家の皆さまに次のことを考えていただきたいと思っています。

信託報酬率よりアセット・アロケーションが重要

投資信託のリターンは、その投資信託のアセット・アロケーション(資産の配分)でほとんど決まると言われています。したがって、投資家はまずその投資信託のアセット・アロケーションを重視しなければならないのですが、ここでひとつ問題があります。

それは、投資信託のアセット・アロケーションが適切であるか、つまり、各アセットの分散効果と相関効果がちゃんと発揮されているか否かは、アセット・アロケーションを見ただけでは分からないことです。

そこで、投資家によって意見が様々に分かれるわけです。日本株式は必要・不要、新興国株式は必要・不要、米国株式だけで良い、債券クラスは必要・不要、リートは必要・不要などなど…。

これらの意見のうち、どれが正しいかなど、誰にも分かりませんので、結局、個々の投資家は自分の考えや信念にしたがって、投資先を選ぶしかありません。

この点、私の考えは単純で、投資信託のアセット・アロケーションが適切であるか、つまり、各アセットの分散効果と相関効果がちゃんと発揮されているか否かは、その投資信託の基準価額の動きで判断すれば良いというものです。

要するに、上がっている投資信託が正しいと考えているわけです。

そういったことを考えずに、信託報酬率の小ささばかりを取り上げるのは、なんとも些末な議論であるという印象を受けます

そして、野村7資産の基準価額の動きを見る限り、同ファンドのアセット・アロケーションは他のバランスファンドよりも適切であると考えられ、それは少々の信託報酬率の高さを上回るメリットであると考えます。

為替ヘッジのコストはリターンとの比較で考える

確かに為替ヘッジにはコストがかかるでしょうし、それが信託報酬率が最安ではない理由のひとつなのかもしれません。

しかし、私は為替ヘッジをしたことで少々のコストアップになったとしても、それを上回るリターンを得られるのであれば、全く問題はないと思いますし、むしろ、積極的に為替ヘッジをするべきだと考えています。

一般に株安の時期は、円高になっていることが多いわけですが、そうなると、バランスファンドにおいても、本来は値上がりして株安をヘッジすべき外国債券部分までが値下がりしてしまうため、全体のパフォーマンスが落ちてしまいます。その点、野村7資産は、他のバランスファンドよりも明らかに株価下落の影響が小さく、これらのことは、上記のグラフ及び表にはっきり現れていると私は考えます。

今回はここまでです。次回は、野村6資産均等バランスを取り上げたいと思います。

それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

投資信託をどう買えばよいのか(入口戦略)2

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをご訪問くださり、ありがとうございます。

ブログを書く生活も1か月が過ぎ、だんだん慣れてきた気がします。

ちなみに、私は物事を続けるコツは習慣化と、もう1つは忘却だと考えています。

毎日やらないと気持ちが悪い→毎日ほとんど意識せずにやる(ここまで習慣)→知らないうちにやっていた→やっていたこと自体を忘れた(ここまで忘却)。投資もブログも忘却まで行けば最強ですね(笑)。

今回は、以前書いた投資信託をどう買えばよいのか(入口戦略)の2回めです。と言っても、内容的には続きというよりは、実際の投資に至る前の方針的な話です。

それでは、早速書いていきます。

まず、当たり前の話ですが、投資用の資金がすでにあるか、今はないとしても、これから準備することができることが必要です。

すでに投資用の資金がある場合は、今回は特に新たに書くことはありません。上記記事のやり方で投資信託等を買っていただければよいだけです。

今回、私が書こうとしているのは、今は投資用資金がない場合に、投資資金をどのように準備して投資に回していくのかという話です。

さて、皆さんは、本多静六という方が書いた「私の財産告白」という本をご存知でしょうか。この本は、インデックス投資家のバイブル的な本の1つですが、この本では同氏の特徴的な貯蓄法と投資法が紹介されています。本多氏はこの方法により、大学教授の身でありながら、億万長者になりました。

結論を先に書くと、私の文章を読むよりも、上記の本多静六氏の本を読んでくださいということになってしまうのですが、それでは今回のブログが終わってしまうので、このまま続けます(笑)。

よく、投資は余裕資金でやるようにと言われます。これは、投資にはリスクがあるため、仮になくなってしまっても大丈夫な資金でやるようにとの戒めですが、普通の人にとって余裕資金なんて、そんなにないですよね。仮にお金が余ったことがあったとしても、将来のためにいろいろ貯めておかなければならないわけで、それを余裕資金とは言わないです。

では、上記の本多氏に余裕資金があったのかというと、大学教授とは言え、あくまでも勤め人としての給料しかもらっておらず、それで結構な人数の一家を養わなければならなかったため、実は決して家計に余裕があったわけではありませんでした。

ではどうしたかというと、氏は給与の4分の1を天引きで貯金し、最初からこの分の給与がなかったものとして、残りの給与で生活したんですね。

当然、生活はかなり苦しかったわけですが、それは一時的なものと考えてなんとか耐え忍び、貯金をだんだん増やして、増やした後は今度はそれを株や不動産などの有利な投資対象に投資し、配当を得るようにしていったわけです。

その間もずっと給与の4分の1の天引き貯金は続けるわけですが、いつしか、天引きした貯金の額よりも、投資対象からの配当金が上回るようになり、生活も楽になり、資産家となっていったというわけです。

ちなみに私がこの本を読んだのは、それほど前の話ではなく、読んだときは、「なるほどすごい人がいたものだ、投資家の鑑とはまさにこういう人のことだ」などとは思いましたが、自分に置き換えて考えてみた場合は、まさに手遅れの状況でした(笑)。

でも、これから投資を始めようという、特に若い方には考え方の参考になる本だと思いますので一読をおすすめします。少し前にトマ・ピケティもベストセラーとなった「21世紀の資本」(私は漫画で読みましたが)で、資本からの収益率は、歴史上、常に労働からの収益率を上回ると書いていますが、本多氏もそれを経験的に理解していたのでしょう。

で、具体の方法ですが、まず、本多氏のように給与の一部を、生活資金とは別の銀行口座で天引き貯蓄しましょう。その割合ですが、本多氏のように給与の4分の1というのがひとつの目安になるとは思います。

しかし、読んでくださっている方が、仮にまだ親元から通勤している新入社員かそれに近い方だとしたら、ぜひおすすめしたい方法があります。

それは、親元にいて生活費がかからないうちに、手元にないと困るお金を除いた、給料の全額を天引き貯蓄し、それを速やかに自分が信用できる投資信託の積立投資に充てる方法です。

金額は大きければ大きいほど、時期は早ければ早いほど有利です。以下に書くように、投資資金が貯まるのを待っている必要は全くありません。

単純な例をあげます。

毎年100万円ずつ年間リターン5%の投資信託を買ったとします。

1年目のリターンは100万円✕5%で5万円、

2年目のリターンは(100万円+5万円+100万円)✕5%で102,500円、

3年目のリターンは(100万円+5万円+100万円+102,500円+100万円)✕5%で157,625円です。

3年間の投資した金額とリターンの合計は、3,310,125円になります。リターンは5%だったはずが、3年間で10%以上増えています。これが有名な複利の効果です。

一方、3年間で300万円貯まるのを待って、同じ年間リターン5%の投資信託を買った場合のリターンは、300万円✕5%で15万円にしかなりません。

1年目から投資を始めた場合との差は、たった2年の差で160,125円にもなります。

もちろん、これは分かりやすくするための例であって、実際には1年も待つ必要はありません。最初の1か月目から(100万円を12で割った)83,333円をどんどん投資していけば良いのです。

このように投資用資金は、できるだけ早く、それもできるだけ大きい金額をどんどん市場に投入して運用していくことが肝心であり、その時期を遅らせることは、本来得られるはずだった利益を失うこと(機会損失)につながります(こういうことを、もっと昔に誰かが私に教えてくれていたらなーなんて、つい考えてしまいますね)。

以上、繰り返しになりますが、(安定した給与があること、親元から通勤している若い方であることなどが前提ですが)もしそれが可能な状況であれば、天引き貯蓄等を利用して、信用できる投資信託(※優良なバランスファンドなど)に全力で積立投資し、早期に配当の原資となる投資元本を極大化させ、長期間にわたって複利の効果を享受することがベストの方法であると(自分はできませんでしたが)考えます。親がこのことを理解していれば、実家にお金を入れる必要もありません(まあ、このへんは各家庭の状況によりますが…)。

仮に現金が必要になっても、そのときは投資信託の一部を売却すればよいだけです。

少し極端でしょうか?

でも、自分の子どもにはぜひ勧めたいと思っている方法なんですよねー。

今回はここまでです。それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【意外な?伏兵】野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型を比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

さて、今、投信ブロガーの間で、今年の9月にSBI証券から発売されるSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドが大変話題になっています。

その理由の1つは、何と言ってもその信託報酬の安さです。

<SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド 商品概要(抜粋)>

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(画像元:SBI証券のプレスリリース)

S&P500をベンチマークとする投資信託で、現在、信託報酬が最も安いのは、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の0.162%ですが、SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドは、これを大きく下回る0.09264%程度を想定しています。三菱UFJ国際投信株式会社が、果たしてこれに追随してくるのか非常に注目されているところです。

そこで、今回は上記ファンドの発売を記念して、と言っても上記ファンドはまだ比較できないので、そのライバルとなる野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型と同ファンドの為替ヘッジなし、既存のS&P500連動ファンド、そのほかの主要な米国株式ファンドを比較してみました。

まず、野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型の特色です。

米国の株式を実質的な主要投資対象とし、S&P500配当貴族指数(配当込み・円ヘッジ)の動きに連動する投資成果を目指して運用を行う。株式の実質組入比率は、原則として高位を基本とする。効率的な運用を行うため、上場投資信託証券(ETF)を実質的に活用する場合がある。実質組入外貨建資産については、原則として為替ヘッジにより為替変動リスクの低減を図る。ファミリーファンド方式で運用。4月決算。(引用元:モーニングスター

続いてグラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

1本(水色)、極端に下落しているのは、DIAM厳選米国株式ファンドです。

その他のファンドは、上の2本(紺色と薄い水色)が野村インデックスF・米国株式配当貴族(為替ヘッジありとなし)です。

その下は、eMAXISSlim米国株式(S&P500)(赤色)とiFreeS&P500インデックス(黄緑色)がほぼ同じ動きで線が重なり、農中<パートナーズ>つみたてNISA米国株式S&P500(オレンジ色)がこれを極めてわずかに下回っており、さらに楽天・全米株式インデックス・ファンド(焦げ茶色)、フィデリティ・米国株式ファンドB(資産成長型・H無)(紫色)の順に続いています。

最後に表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

グラフでも見ましたが、意外なことに、為替ヘッジありの野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型が、年間標準偏差が最も低く、また、年間リターンが信託報酬を抜いた場合でも最も高く、その結果、シャープレシオが最も高いという結果になりました。そして、これに続いたのが、為替ヘッジなしの野村インデックスF・米国株式配当貴族でした。上記8本のファンドのうち、年間リターンがプラスだったのは、この2本だけでした。

これから発売されるSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドがこの中に入ったとしても、当然ですが結果は同じでしょう。

私は、米国株投資には詳しくありませんが、バフェットが推奨するS&P500などに連動するETFに投資する方法のほかに、高配当の個別株に投資し、その配当金をさらに再投資する方法(いわゆるシーゲル流)があり、それが長期的にはベストの投資法であると主張される方々がいることは承知しています。

野村インデックスF・米国株式配当貴族は、その名前からして後者の方法の効果が出ているのかもしれません(すみません。よく調べてないです…汗)。そして、為替ヘッジありのほうが、為替変動の影響を受けないために、その効果がよりはっきりと出ているのではないでしょうか。

正直言って、私はバランスファンド派ですし、リスクが高いので株式ファンド単体には投資したいと思いませんが、もしどうしても投資しなければならない場合は、よく考えた上でS&P500インデックスファンドではなく、野村インデックスF・米国株式配当貴族・H型を選ぶような気がします。

皆さんでしたら、これらのうちのどのファンドに投資しますか?

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【あのファンドは今】さわかみファンドと全世界株を比較してみる(追記版)

こんにちは。HIROBUNです。

当ブログへのご訪問と応援、いつもありがとうございます。

前回お伝えしましたYahoo!ファイナンスからWebクエリでデータが取り込めなくなってしまった件につきましては、Yahoo!ファイナンスのモバイル用のサイトから取り込むことにより、何とか回避できました。お騒がせして申し訳ありませんでした。

モバイル用のサイトの仕様がこのまま変更されないことを祈ります。

さて、今回は何を比較しようとかなと考えていたときに、ふと思いついたのが「さわかみファンド」でした。

だいぶ昔、まだ投資のやり方を知らなかったにもかかわらず、「さわかみファンド」の資料を取り寄せたことがありました。

つまり、「さわかみファンド」はそれだけ一世を風靡したんですね。当時は低コストで、良心的なイメージがありました。そういうところは少し「ひふみ投信」と似ているかもしれません。

その「さわかみファンド」ですが、最近の投信ブロガーの記事で見ることはほとんどありません。今はどうなっているのでしょうか。

それでは、ファンドの特色です。

主要投資対象は国内外の株式等。運用にあたっては、その時点で最も割安と考えられる投資対象に資産を集中配分し、その投資対象資産の中で、将来価値から考えて市場価値が割安と考えられる銘柄に選別投資し、割安が解消するまで持続保有する「バイ・アンド・ホールド型」の長期投資を基本とする。8月決算。(引用元:モーニングスター

主要投資対象は国内外の株式等とのことですので、いま流行り?の全世界株式ファンドと比較してみました。

まず、グラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

赤い線がさわかみファンドです。最初の4か月間は全世界株式をアウトパフォームしましたが、その後の8か月間は全世界株式を大きくアンダーパフォームしました。

次に表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

まず、さわかみファンド純資産の大きさに驚きました。さすがは一世を風靡したファンドだけあります。今でも保有している方が大勢いらっしゃるんでしょうね。

すべてのファンドのリターンがマイナスですが、その中でもさわかみファンドのマイナスがひときわ大きくなっています。

全世界株式ファンドに対するさわかみファンドのパフォーマンスがはっきりしましたが、ここでミスをしたことに気づきました。

さわかみファンドの資産構成比率は国内株式が90.50%(出典:さわかみ投信株式会社HP)だったんですね(だったら、なんで国内外の株式…)。Yahoo!ファイナンスのカテゴリーでも、国内株式型 国内大型ブレンドでした…すみません。

で、やってみました。比較対象は、国内株式ファンド(TOPIX)とひふみプラスです。

まず、グラフです。 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

このグラフでは、青い線がさわかみファンド、赤い線が国内株式ファンド(TOPIX)です。黄緑色の線は…ここでは触れないことにします。

次に表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

少し意外だったのは、さわかみファンドと国内株式ファンド(TOPIX)のパフォーマンスにあまり差がなかったことです。特にグラフで見ると、ほとんど差がないように見えますね。

全世界株式ファンドにはだいぶ差をつけられましたが、それは単に国内株式のパフォーマンスが悪かったことが大きな原因であることが分かります。

しかし、信託報酬の高いアクティブファンドが、信託報酬の安いインデックスファンドより、パフォーマンスで劣るのは、やっぱりマズいですよね。資金も流出しているようです。

さわかみファンドの今後の復活はあるのでしょうか。

今回はここまでです。それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。