HIROBUNが投資信託を比較するブログ

グラフと表による「見える化」を通じて、投資信託を比較します。そして、優れたバランスファンドにより、すべての方にストレスなしの真のほったらかし投資を!

【変種】BR・ゴールド・メタル・オープンAコースを比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

昼間はまだ暑いですが、朝晩は随分涼しくなりましたね。そうこうしているうちに、もうすぐ10月、早いものです。

さて、今回は、BR・ゴールド・メタル・オープンAコース(以下、ゴールド・メタル)を取り上げます。

…って、皆さんはこの投資信託をご存知でしたか?私は全く知りませんでした。

しかし、Yahoo!ファイナンスではアクセス数上位の注目ファンドです。

その理由は、後で見ますが、この投資信託の年間リターンが何と50%近くもあることでしょうね。投資信託としては極めて異例です。

1 ファンドの特色

南アフリカ、オーストラリア、カナダ、アメリカ等の金鉱企業の株式を中心にその他鉱業株式を主要投資対象として、積極的な運用を行う。各企業の金埋蔵量、産金コスト等を推計・分析し、割安と考えられる銘柄に厳選投資する。原則として為替ヘッジを行う。ファミリーファンド方式で運用。2、8月決算。(引用元:モーニングスター

 資産配分は次のとおりです。

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(引用元:交付目論見書)

組入上位10銘柄を見ると、カナダ、アメリカ、オーストラリア、イギリスの会社が並んでいます。ウィキペディアによると、1位のBarrick Gold Corporationは、カナダのオンタリオ州トロントに本社を置く、世界最大の金鉱会社とのことです。

国別で見ても、カナダ、オーストラリア、アメリカ、イギリスの株式で83.2%を占めています。

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

ゴールド・メタルは紫色の線です。株式ファンドとは一線を画す圧倒的なパフォーマンスを見せています。

ゴールド・メタルと比べると、株式ファンド(とバランスファンド)の線がほとんど水平に見えます。

ところどころで株式ファンドとは反対の動きを見せているのも興味深いですね。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

ゴールド・メタルで目立つのは何と言ってもその圧倒的な年間リターンです。アクティブファンドとしても高い2%以上の信託報酬を差し引いてもなお、45%以上のリターンを誇ります。

年間標準偏差も思ったより低く、この1年間を見る限り、新興国株式より低リスクとなっています。

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

2018年11月からの基準価額の上昇を反映して、基本的には大きく増加しています。

しかし、その前は大きく減少しており、2019年4月と9月にも減少を見せています。

5 総口数の推移 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

一番驚いたのが、ゴールド・メタルの総口数の変化です。

その変化の激しさもさることながら、基準価額が大きく上昇し始めた2019年5月から総口数が大きく減少し始め、その動きは最も基準価額が高かった2019年8月にも変わりませんでした。

おそらくですが、ゴールド・メタルは、その基準価額の変動の大きさから、購入者には短期売買を目的とする投資家が多く、そのような投資家が、基準価額が上昇したところで利益確定(売却)を図ったために、総口数が減少したものと考えられます。

6 終わりに

ゴールド・メタルは、この1年間は確かに驚異的なリターンを生み、投資した投資家は大きな利益を得られたことと思います。

しかし、これは個別株のタイミング売買と基本的に同じものであり、本来望ましいとされる長期投資とは全く別の投資法です。

その証拠というわけではありませんが、ゴールド・メタルの基準価額は2101年12月には12,000円以上あったのが、直近では4,800円台となっており、決して長期投資に向いた投資信託とは言えません。

短期投資家はともかく、長期投資家は目先のリターンに惑わされないようにしなければなりませんね。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【大人気】eMAXIS Slim米国株式(S&P500)を比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

さて、今回は注目ファンドとして、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)(以下、Slim米国株式)を取り上げます。

S&P500指数に連動するETFは、世界最高の投資家の一人であるバフェットが、妻に自分が亡くなった後はこれだけを買っておけば良いと言ったとされています。

このS&P500指数に、低コストの投資信託で簡単に投資できるようになったため、投信ブロガーに非常に人気がありますね。

投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018では8位に入っています。

バランスファンド派である私でさえ、思わず買いそうになります。

1 ファンドの特色

主要投資対象は、S&P500インデックスマザーファンド受益証券。なお、米国の株式に直接投資することがある。主としてS&P500指数(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果をめざす。対象指数との連動を維持するため、先物取引等を利用し株式の実質投資比率が100%を超える場合がある。原則として、為替ヘッジは行わない。ファミリーファンド方式で運用。4月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は次のとおりです。

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(引用元:交付運用報告書)

組入上位10銘柄を見ると、S&P500なので当然ですが、マイクロソフト、アップル、アマゾンを始め、米国を代表する企業が並んでいます。 

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

Slim米国株式は紫色の線です。2019年の1月と2月にかすかに先進国株式ファンドを下回りましたが、他の月はわずかですが先進国株式ファンドを上回っています。いずれにしても、60%以上が米国株式からなる先進国株式ファンドの動きと大した違いはありません。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

Slim米国株式は、他の株式ファンドと比べ、(マイナスではありますが)最も年間リターンがよく、年間標準偏差も先進国株式ファンドとほぼ同じです。

信託報酬も最も低コストな先進国株式ファンドよりは高いものの、十分低コストと言えるレベルです。

なお、インデックス投資家の間では、先進国株式と米国株式と、どちらが投資対象として適切かという議論があります。

先進国株式派は、米国がいつまでも最強とは限らない、他の先進国も入れるべきと言い、米国株式派は、米国最強、米国以外はパフォーマンスの足を引っ張るだけと言っています。

私は理屈よりも実績重視ですので、どちらかを選べと言われたら、今は米国株式ですね。

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

1年2か月前の9億円から現在の304億円まで、ほぼ一直線に増加しています。販売会社がたった13社しかないことを考えると素晴らしい伸びと言えます。

「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018」で1位のeMAXIS Slim先進国株式インデックスでさえ2年7か月で587億円ですから、それを超えるペースで増加していることになります。

5 総口数の推移 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

こちらも、1年2か月前の9億口から現在の277億口まで、ほぼ一直線に増加していましたが、よく見ると8月から9月にかけての増加は、その前よりも少し伸びが鈍ったように見えます。

この理由ですが、皆さまご存じの方も多いと思いますが、この8月にSBI証券が、同じS&P500指数への連動を目指す投資信託のSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドを発表しました。

これだけでも、Slim米国株式の口数の伸びに影響があると思いますが、投信ブロガーに衝撃を与えたのは、その信託報酬の低さでした。

なんと、年0.09264%程度(SBI証券のプレスリリースより)と、Slim米国株式の57%しかありませんでした。

この非常に戦略的な値付けに対して、いつもは有言実行ですぐに対抗値下げをする三菱UFJ国際投信株式会社(以下、三菱UFJ国際投信)が、これまでのところ対抗する様子を見せておらず、Slim米国株式の信託報酬の値下げがあるのかないのか、大人気の投資信託だけあって、投信ブロガーの間でもかなり話題になっているようです。

三菱UFJ国際投信が対抗値下げをすれば、 Slim米国株式の牙城は揺るがないでしょうが、対抗値下げをしない場合は、一気にSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドに市場を奪われる可能性もあります。

投資家は、そこを見極めるために、Slim米国株式の購入を保留している、あるいは対抗値下げはないと見極めて、SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドに流れたというのが、私が考える総口数の伸びの鈍化の理由です。

6 終わりに

米国株式への投資は、国内株式への投資よりも、はるかに高いパフォーマンスが期待できるということで、投資家の間で非常に人気となっています。

特に、S&P500指数に連動した投資信託への投資は、投資の初心者にも容易で、かつ、長期的なリターンは鉄板であるとされています。

このような中で、Slim米国株式は一人勝ちかと思われましたが、ネット証券の雄であるSBI証券が思い切って勝負に出ました。

三菱UFJ国際投信にとっては、想定外だったかもしれませんが、このような競争は投資家にとっては非常に良いことですね。

バランスファンド派の私としては、外野から興味半分で見させていただくだけですが、どちらが勝つにしても、このような良質なファンドが、スタンダードな投資信託として売れ筋になるのが理想ですね。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【お前もか】ロボット・テクノロジー関連株F-ロボテック-を比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

さて、今回は投資信託の比較を行う前に、比較方法の一部見直しについて書いてみたいと思います。

これまで、Yahoo!ファイナンスのアクセス数上位の投資信託を、同じ資産クラスのインデックスファンドと比較することにより、その実態を明らかにしようしてきました。

まだ試行錯誤の面もありますが、自分では、基本的な比較の手法は概ね固まってきたと考えています。

しかし、実はどこか物足りない思いがありました。それは、自分がほったらかし投資を行っているバランス型の投資信託との比較がないことでした。

もちろん、株式型の投資信託には株式しか含まれていないのに対し、バランス型の投資信託には株式だけでなく債券もリートも含まれていますので、直接比較するのは適当でないことは十分承知しています。

しかし、ある投資信託を同じ資産クラスのインデックス型投資信託と比較した記事を読んだだけでは、誰もバランス型投資信託を購入しようとは思いません

しかし、それでは「優れたバランスファンドにより、すべての方にストレスなしの真のほったらかし投資を」実践していただきたいという当ブログの真の目的は達成されません。

そこで、今回から、今注目の投資信託をインデックス型投資信託と比較する際には、野村7資産をそっと隣に置き、皆さまに基準価額の動きや各種数値をご参考までに見ていただこうと思います。

ただし、誤解しないでいただきたいのは、私の考えを押し付けるつもりは毛頭ないということです。管理人はこういう投資信託を購入しているということを知っていただくだけで十分です。したがって、原則として説明等も行いません

なので、野村7資産よりもパフォーマンスが良い投資信託についても、当然、野村7資産と一緒に比較します。

その結果、もしかしたら野村7資産からその投資信託に乗り換えることになるかもしれませんが、それはそれで誰も損はしないので良しと思っています(笑)。

以上、どうぞご了承ください。

それでは、前置きが長くなりましたが、今回は注目ファンドとして、ロボット・テクノロジー関連株F-ロボテック-(以下、ロボテック)を取り上げます。

このファンドも、純資産が2,900億円を超える巨大なファンドです。

1 ファンドの特色

日本を含む世界のロボット関連企業の株式に投資。「高度な技術力」「強力な経営陣」「価格決定力および業績上方修正の可能性」等を考慮して選定した組入候補銘柄の中から、アクサ・インベストメント・マネージャーズの企業調査機能等を活用し、ポートフォリオを構築。原則として為替ヘッジは行わない。ファンドオブファンズ方式で運用。3、9月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は、アクサ IM・グローバル・ロボット関連株式ファンド(為替ヘッジなし)が99.5%となっており、その内訳は次のとおりです。 

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(引用元:月次レポート)

米国株が60%以上を占め、次いで日本株が15%以上を占めています。組入上位10銘柄中、米国企業が9社を占め、筆頭銘柄はグーグルを運営するアルファベットとなっています。

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

ロボテックは紫色の線です。変動の激しさが目に付きますが、最初の4か月は、インデックス型の株式ファンドを下回り、5か月目以降は日本株式を上回りました。

7か月目で僅差で株式ファンドのトップに立ちましたが、その後は先進国株式を下回ったリターンのまま、現在に至っています。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

ロボテックは、年間リターンは先進国株式を2.3ポイント以上下回りますが、その差は信託報酬差引後はさらに開き、4ポイント近くも下回ります。

また、グラフで見た変動の激しさのとおり、年間標準偏差が先進国株式よりも9ポイント、新興国株式とくらべても比べても、6ポイント以上高く、この中では最も高リスクな投資信託となっています。

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

グロバルAIに続き、なんだか既視感ありまくりですが、ロボテックも凄まじい勢いで純資産が減っています。13か月前は4,077億円もあったのが、現在は2,908億円と、1,169億円も減少しています。

5 総口数の推移 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

リターンの低迷、高い信託報酬、高いリスクを反映して、こちらも純資産と同様に凄まじい勢いで減少しており、16か月前の3,212億口をピークとして、現在は2,281億口と、931億口も減少しています。

6 終わりに

グロバルAIもそうでしたが、ロボテックも急激に総資産、総口数ともに減らしてきており、投資家の人気が離れてしまったように見受けられます。

それにしても、AIだのロボットだの一般受けするテーマで投資家の関心を惹き、高信託報酬、高リスク、低リターンの粗悪な投資信託を販売することは、そろそろ規制してほしいと個人的には考えます。

しかし、金融庁は、金融を取り巻く環境が急激に変化する中にあっても、(1)金融システムの安定/金融仲介機能の発揮、(2)利用者保護/利用者利便、(3)市場の公正性・透明性/市場の活力のそれぞれを両立させることを通じて、企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指すことを目標とし、金融行政に取り組んでいます。(引用:金融庁のホームページ)

そして、皆さまご存知のとおり、日銀のマイナス金利政策のもと、地方銀行を始めとする各金融機関の経営状況は近年極めて厳しくなっており、顧客に手数料の高い投資信託を販売すること等でしか収益を上げられなくなっています。

つまり、金融庁は、投資信託を規制すれば金融システムの安定ができず、逆に投資信託の規制をしなければ利用者を保護できないという、極めて難しい立ち位置にいるわけです。まあ、金融システムの安定が利用者保護に優先するとは言えないでしょうが…。

であれば、投資信託については、当面は今と同じ「不適切販売」が否応なく続くことが考えられ、そうなると結局、投資家は自分でしっかり情報収集することによって、自分の金は自分で守るしかないという、令和の時代にあって、何とも救いがなくやりきれない話に落ち着いてしまうのかもしれません。

ということで、今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

セゾングロバラと世界経済ファンドの総口数の推移を比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログを訪問してくださり、ありがとうございます。

さて、突然ですが、当ブログのアクセス数を見ていたところ、アクセス先のページの1位がひふみプラスで、2位がセゾングロバラ、3位が世界経済ファンドとなっていることに気が付きました。

ひふみプラスは最近取り上げ、その中で総口数の推移をグラフでお示ししたところですが、セゾングロバラと世界経済ファンドについては、これまで総口数の推移はお示ししておりません。

そこで、もしかしたら、上記2つのファンドについて、総口数推移のグラフが追加されていないかを確認されたのかなと考えました。

そこで、今回は番外編として、セゾングロバラと世界経済ファンドの総口数(と純資産)の推移を比較してみます。

まず、セゾングロバラの純資産の推移です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

次に、総口数の推移です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

セゾングロバラの総口数は、この19か月間、純資産を減らした時期も含めて、8月までずっと右肩上がりでしたが、この9月に初めて、わずかですが減少しました。

これは同ファンドに対する強い信頼感が揺らいだことを意味するのでしょうか。あるいは、9月の純資産の増加(=基準価額の上昇)を受けて、また右肩上がりに戻るのでしょうか。

同ファンドを購入されている方は気になるところだと思います。

続いて、世界経済ファンドの純資産の推移です。 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

次に、総口数の推移です。 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

 世界経済ファンドの総口数は、この19か月の間、今年の3~4月にかけて一旦減少しています。これは、同ファンドの純資産が、今年の3~5月にかけて2度目の減少を見せたのとほぼ同じタイミングです。

しかし、その後、純資産は上昇傾向に転じ、それに合わせて総口数も上昇しています。

 

以上、セゾングロバラと世界経済ファンドは、純資産と総口数の変動の仕方が多少異なっていますが、これは、セゾングロバラが解約しにくいと言われることに比べ、世界経済ファンドはネット証券のサイトで簡単に解約できることが影響しているのかもしれません。

今回はここまでです。ではまた。

※投資は自己責任でお願いします。 

【解約増】グローバルAIファンドを比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

さて、前回の次世代通信関連 世界株式戦略ファンドを比較してみるをお読みいただいた方はお気づきだと思いますが、ブログの読みやすさを考慮して、基本的に見出しをつけるようにいたしました。

また、総口数=純資産÷基準価額であることに遅ればせながら気づき、前回から、ファンドの人気の盛衰が一番表れる総口数の推移のグラフを入れるようにしました。

なお、以下の回にも、同じグラフを「基準価額と純資産の変動率を比較したグラフ」と入替えましたので、よろしければお読みください。

【まだ人気?】ひふみプラスを比較してみる(※加筆修正あり、おまけ付き) - HIROBUNが投資信託を見える化するブログ

※ ひふみプラスの総口数の減少を確認しました。

【解約増】グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年)を比較してみる - HIROBUNが投資信託を見える化するブログ

【人気低下】野村インド株投資を比較してみる - HIROBUNが投資信託を見える化するブログ

さて、今回は注目ファンドとして、アクティブ型ファンドであるグローバルAIファンド(以下、グロバルAI)を取り上げます。

このファンドも、純資産が2,000億円を超えるかなり巨大なファンドです。

1 ファンドの特色

主として世界の取引所に上場している株式(REIT含む)から、AI(人工知能)の進化、応用により高い成長が期待される企業の株式に投資を行い、信託財産の中長期的な成長を目指す。企業の成長見通し、財務健全性、バリュエーション等の分析・評価を行い、投資銘柄を選択する。原則として、為替ヘッジは行わない。ファミリーファンド方式で運用。9月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は、グローバルAIエクイティ・マザーファンドが99.46%となっており、その内訳は次のとおりです。

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(引用元:交付目論見書)

米国株が80%以上を占め、さらにその6割近くが情報技術セクターの株が占めています。

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

グロバルAIは紫色の線です。いずれのファンドも年間リターンはマイナスですが、グロバルAIの基準価額の変動の激しさが目に付きます。

グロバルAIは、最初の3か月はインデックスファンドをアンダーパフォームし、5か月目からは現在の12か月目はアウトパフォームしています。

ただし、直近の12か月目では、先進国株式ファンドの年間リターンにかなり近づいています。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

グロバルAIは、信託報酬を考慮しなければ、(マイナスではありますが)先進国株式ファンドを超える年間リターンとなっています。しかし、信託報酬を差し引くと、その高さが災いし、年間リターンは先進国株式ファンドを下回ります。

また、年間標準偏差は先進国株式ファンドを10ポイント近く上回っており、この中では最も高リスクなファンドとなっています。

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

凄まじい勢いで純資産が減っています。19か月前は3,200億円近かったのが、現在は2,141億円と、1,000億円以上減少しています。

5 総口数の推移 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

こちらも純資産と同様に凄まじい勢いで減少しており、19か月前は2,134億口だったのが、現在は1,343億口と、791億口も減少しています。特に、2019年1月から4月にかけての急激な減少が目に付きます。

6 終わりに

現在、グロバルAIは急激に総資産、総口数ともに減らしてきており、投資家の人気が離れてしまったように見受けられます。

そもそも、信託報酬が高く、リスクが大きい投資信託は、リターンがプラスのうちは信託報酬やリスクのデメリットが目立ちませんが、リターンがマイナスになると途端にデメリットが目立つようになり、解約が相次ぐようになります。

投資信託のリターンは、中長期的にはともかく、短期的にはプラスのこともあればマイナスのこともありますので、信託報酬が高く、リスクが大きい投資信託では、投資家は長期間、安心して投資を続けることができません。

一方で、このような投資信託は、投資信託の購入と解約を繰り返させる、いわゆる回転売買で手数料を稼ぐ販売会社側にはメリットがあると考えられますので、投資家はこのような投資信託を買わないよう、十分気をつけるべきでしょう。

それにしても、こういう商売、いい加減規制とかしてほしいものですね。

今回はここまでです。それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【売りまくる】次世代通信関連 世界株式戦略ファンドを比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

さて、今回は注目ファンドとして、アクティブ型ファンドである次世代通信関連 世界株式戦略ファンド(以下、次世代通信ファンド)を取り上げます。

あれ?ついこの間やったんじゃ?と思った方、正しいです。こちらです。

最初は続きとしてやろうと思ったのですが、次世代通信ファンドは屈指の注目ファンドであるにもかかわらず、今から考えると前回は比較・分析がいまいちだったな…という気持ちがありました。

そこで、前回に比べれば、今は株式市場もだいぶ回復し、数字的なものも変わっているため、思い切って最初から比較をやり直そうと思ったわけです。

最後までお付き合いいただけると幸いです。

1 ファンドの特色

主要投資対象ファンドへの投資を通じて、主として日本を含む世界各国の金融商品取引所等に上場(上場予定を含む)している次世代通信関連企業の株式(預託証書(DR)を含む)に投資する。「次世代通信関連企業」とは、通信技術の発展によって業績面で恩恵を受けることが期待される企業をいう。主要投資対象ファンドにおける投資銘柄は、次世代通信関連企業の中から、ファンダメンタルズ分析を通じて、成長性や株価の割安度を検証したうえで選定する。原則として、為替ヘッジは行わない。ファンドオブファンズ方式で運用。1月決算。(引用元:モーニングスター

資産配分は次のとおりです。

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(以上、月次レポートから引用)

要するに、次世代通信ファンドはNext Generation Connectivity Fund JPY Unhedged Classというファンドを買うだけのファンドで、95%近くが株式です。それも大型株式が半分以上で、そのうち米国株式が65%以上を占めています。

正直、いまいち、資産配分の中身がはっきりしません。そして、はっきりしないものは購入すべきではないなとこの段階で感じます。

2 基準価額変動率の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

次世代通信ファンドは紫色の線です。最初の4か月はパッとしませんでしたが、その後の8か月間は先進国株式、新興国株式、国内株式のいずれのインデックスファンドもアウトパフォームしています。

3 リターンとリスク

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(出典:Yahoo!ファイナンス

次世代通信ファンドは、純資産が4,000億円近くあり、圧倒的な規模を誇ります。また、この中では唯一、年間リターンがプラスであり、先進国株式ファンドの17倍もある信託報酬を差し引いても、その事実は変わりません。

ただし、年間標準偏差は25%超と最も高く、この4ファンドの中では最もハイリスクなファンドと言うことができます。 

4 純資産の推移

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(出典:Yahoo!ファイナンス

凄まじい勢いで純資産が増えています。19か月前は227億円だったのが、 現在は3,978億円にもなっています。

5 総口数の推移 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

こちらも純資産と同様に凄まじい勢いで増加しており、わずか19か月前は226億口だったのが、現在は3,649億口にもなっています。

6 終わりに

上で見てきましたように、次世代通信ファンドは凄まじい勢いで売れています。しかし、同ファンドは非常にリスク(=年間標準偏差)が高く、また、信託報酬も決して低いものではありません。

また、比較した中では高かった年間リターンも、実は次のとおり、次世代通信ファンドより低リスクかつ低信託報酬で、年間リターンは高いファンドがありますので、あまり評価はできません。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

例えば、野村7資産は、リスクも信託報酬も次世代通信ファンドの3分の1以下、年間リターンは1.8倍です。それなのに、野村7資産の純資産は、次世代通信ファンドのわずか2.7%の規模しかありません。

なぜこのようなことになるかというと、ご承知のとおり、マイナス金利下で経営が厳しい金融機関が、利ざや稼ぎに代わる主要な収益源として、次世代通信ファンドのような信託報酬が高い投資信託を売りまくっているからですね。

反対に、信託報酬の低い投資信託は儲けが少ないので売りたがらず、したがって、上記のような優れた投資信託の情報は自分で探しに行かないと見つかりません(さらに、金融機関の窓口でこれを買いたいと言っても、別のもっと信託報酬の高い投資信託を勧められたりします)。

今回はたまたま、ゆうちょ銀行の投資信託不適切販売が新聞沙汰になりましたが、これは氷山の一角もいいところで、実際には日本中のあらゆる金融機関が似たような販売を行っていると言われています。

ですから、私たち投資家は、「THE 5G」などという愛称に惑わされずに、そのファンドの実態をしっかり見極めなければならないのですが、そのために必要な情報は十分に提供されておらず、リテラシー(与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力)の育成も不十分です。

日本の投資信託の夜明けは、遠そうです┐(´д`)┌ヤレヤレ。

今回はここまでです。それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。

【人気低下】野村インド株投資を比較してみる

こんにちは。HIROBUNです。

いつも当ブログをご利用いただき、ありがとうございます。

朝晩などだいぶ涼しく、過ごしやすくなりましたね。

さて、今回は注目ファンドとして、 野村インド株投資を取り上げます。

皆さんは、野村インド株投資というファンドがあることをご存知でしたか?

私も勉強不足で知りませんでしたが、アクティブファンドですし、インデックス投資ブロガーは関心を持たないファンドではないでしょうか。ブログ等で取り上げているのを読んだことがありません。

でも、純資産は巨大で、世間では(良くも悪くも)注目ファンドみたいです。「おれ、インド株で当てちゃってさ」「マジかよ」なんて、いかにもありそうです。

冗談はさておき、まずファンドの特色です。

主要投資対象はインド企業の株式ボトムアップ・アプローチによる銘柄選択を中心に、トップダウン・アプローチによる業種判断も加味して、収益性、成長性、安定性およびバリュエーション等を総合的に勘案して投資を行う。原則として為替ヘッジを行わない。ベンチマークMSCIインド・インデックス(税引後配当込み・円ベース)。ファミリーファンド方式で運用。7月決算。(引用元:モーニングスター

ボトムアップ・アプローチとトップダウン・アプローチです。やっぱりスゴそうです。

次に、グラフです。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

インド株と聞くと、何かとんでもない動きをするような気がしましたが、それはやはり気のせいでした。

基準価額の変動は、思ったよりもインデックスの株式ファンドに似ているかもしれません。もっとも、上昇時は国内株式はもちろん、先進国株式や新興国株式よりもかなり大きく上昇しています。

しかし、9月の最新のリターンでは先進国株式を下回っています。

続いて、表です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

やはり、真っ先に目を引くのは、野村インド株投資の純資産の大きさです。前回のグロロボファンドに勝るとも劣らない3,900億円超えです。

年間リターンも新興国株式ファンドより良かったのですが、2%超という信託報酬を差し引くと新興国株式ファンドのリターンを下回ります。

もっとも、野村インド株投資は、年1回500円の分配金を出しているので、実際にはその分、年間リターンはかさ上げされます。

年間標準偏差は、先進国株式ファンドと新興国株式ファンドの中間くらいの高さですね。株式ファンドとしては、特別高くはないようです。

続いて、純資産の推移です。

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(出典:Yahoo!ファイナンス

2018年2月には5300億円近くの純資産ありましたが、現在は3,900億円超にまで激減しています。

最後に、総口数の推移です。 

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(出典:Yahoo!ファイナンス

総口数は、19か月前の1,954億口から、現在の1,644億口まで、310億口も減少しています。

終わりに

野村インド株投資は、時期によっては驚異的な上昇を見せることもありますが、この1年間ではインデックスファンドをアウトパフォームできず、恐らくは高い信託報酬も災いして、解約が増えています。

しかし、ファンドは2005年の設定で、かなり歴史のあるファンドですし、純資産の大きさから言っても、ファンドはこれからもまだまだ続くでしょう。

インドという国の将来性を見越して、今後も投資を継続するという判断を下す方もいらっしゃるかもしれませんが、野村インド株投資は、あまりにも信託報酬が高いファンドであり、5年間持っているだけで投資額の2%✕5年間=10%を持っていかれることは、十分意識されたほうが良いと思います。

今回はここまでです。それではまた。

※投資は自己責任でお願いします。